第47章 初めての
ケイト「空中都市コクーンの人達ごめんなさい!;」
『気にするなあああああああ!!!』
些細なことだと言わんがばかりに、怒号に等しきそれがオラリオ中に響き渡った。
それまでの国における政治…
それらは全て、一国民の意見を聞き入れないものだった。
大衆の意見、権力者の意見、政治家の意見…
それら発現力の強い者によって簡単に覆り、聞き入れてもらえることなどなかった。
社会的弱者の主張はいつまでも通らず、強者のいいなりに他ならない。
それが、当たり前だった…
民主主義、自由民主主義という政策を取る国があろうとも
少数の意見よりも大人数の意見、多数決によるそれで無下にされた。
それが譲れない点でなければまだいい。
しかし、そうでない場合がほとんどを占めていた。
民主主義における『人民の人民による人民のための政治』など…
どれほど聞こえはよくとも、一個人の為のそれではなかった。
背負った大衆の威を借りる権力者、自分の意見は大衆の意見と捻じ曲げる者達に他ならなかった。
少数派は虐げられ、多数派もまた権力者によって虐げられ…
結局は…強者のいいなりに他ならなかった。
ケイトが示した政策…国政…
それは皆がいるからこそ国としてなり得ている。
ならば身分差別も無く、発言力は皆平等とし
互いにとって、皆が折り合いの付くそれを模索し行い、失敗した際の尻拭いは私がする。
諦めず取り組み続け、皆にとっての『最上の国』を目指す。
それを意味していた。
個人同士で合い、折り合いの付く形を模索する。
それ自体こそが…今までになく、歴史上初とも言える在り方を目指していた。
個人の意見は聞く。
だがそれは個人の勝手を許す行為ではない。
それをゆめゆめ忘れるな。
視点も考えも違う、何に重きを置くかの価値観も違う。
歴史が違うからこそ、築き上げてきたものが違うからこそ、違った発見、気付きがある。
他を尊び、敬え。知り、学び、研鑽しろ。
『人民の人民による人民のための政治』…
一個人と真剣に向き合い、たとえ時間がどれほどかかろうとも納得の行く形を模索。
民主主義でもなく、『個人主義』の在り方としてケイトが領主として貫こうとするそれは…
今まで政治に参加することも許されず、蔑ろにされ続けた者達から『多大な評価』を受けた。