第47章 初めての
フィン「…公衆のそれでは化粧した方がいいんじゃ?」
ケイト「別にせんでいい。
そんな飾らなければいけない風習なんぞいっそ滅んでしまえ!」
フィン「極端な…;」
ケイト「なら着飾れないほど貧しい人は罪か?」
『!』
ケイト「着飾らなければいけない常識なんぞ要らん。
それができない人は人ではないと差別するもとなど、いっそ滅んでしまえ。
裕福な人しか出来ん上辺なぞ要らん。
それを重要視する常識、固定観念なぞ私の国では許さんしさせん。
ありのままで居られない居場所など、何の意味がある?
裕福な者しか幸せになれない世界など、何の意味がある?
人は誰もが生き、誰もが死ぬ。
その前提は、どんな立場にあろうが崩れはしない。
たとえどれほどの権威を持つ人間だろうが、死なない者はいない。
なら…それまでの間に、死までに自らにある幸せに気付かぬまま死ぬのは…罪ではないか?
勿体ないと、そう思うから…この在り方を見つけた。
人の生き方の数だけ、歴史の数だけ…
人の在り方もあり、違い、得られる幸せ、感じられるものでさえも違う。
それが、個というものだと…私は思う」
真剣な表情のまま淡々と答えるケイトに…
僕達は息を呑むばかりで、頑として聞かない態度に唖然とした。
だが、それは…自分という個として感じた意見がこれだと示す為のもの、すなわち単なる一個人としての主張だった。
独裁でもなく、皆の意見を取り入れ、互いに譲れない点は譲らず折り合いの付く形を見出し
その上で、皆にとって『最大限のもの』を造り出すことを主としようとしている。
媚びようとしているのでもなく、自分が持つ意見をぶつけているだけ。
それ以上でもそれ以下でもない。やると言ったらやる。
その姿勢が垣間見え、一国民としては嬉しくて仕方ないのは間違いなく…
コクーンにいた領民達は総出でケイトの慌てふためくそれもなんのその、喜びの余り担ぎ上げ、胴上げをし出した。
『わっしょい!』
『わっしょい!!』
どこからか叫び声が響き、皆は笑顔で喜びの声を上げていた。
その中で…
ケイト「あ!いけない!;忘れてた!;
ギルドに納める税は必要だからそれも請求するよ!ごめんね!;」
『いいともおお!!』
『わああああああああああああ!!!』
そんなの小事だとばかりに歓声が上がった。