第47章 初めての
元々迷宮はそれほど深くはなく、強い怪物も弱い怪物も皆同じ階層から生まれていた。
それが意味する所は…すなわち地上にあり、地表から何度も何度も生み出されていた。
そして外へ出、空の記憶が何度も何度も刻まれていた。
迷宮そのものもまた怪物を生み出す巨大な怪物であり、特定の範囲内の地面としてそれはあった。
地上の光に焦がれ、外へ出ようと怪物がもがく理由…
それは元々迷宮が地上にあったが故であり、それを古代に神が纏めて地下へと閉じ込めたが故だった。
心を抱く怪物、異端児(ゼノス)…
それは怪物とは違い、人を見れば攻撃するという者ではなく
人類と同じく思考することが出来、行動もまた自制できる。
それと人類の共存は、常に敵として戦い続けていた古代においては不可能と、神と迷宮が判断。
いずれ、最下層まで攻略できたその時には…人類と異端児の共存を果たす。
その約束を条件として迷宮から地下に閉じ込める許可を貰い、神は祈りを捧げて地下へと閉じ込めた。
その上での神の固い誓ったそれを記したもの、誓約を書かれた書類もまたそこにあり…
最初に果たした者がそこへ署名し、筆頭となって行うように、と…そう、書かれていた。
署名する欄があり、ケイトはそれに迷わずサインをした。
僕もまた、サインをし…
神の鏡でこれらの光景がオラリオへ中継と共に映されている為、それを利用して宣言することにした…
『空中都市コクーンで、異端児を率先して受け入れること』を――
異端児と怪物との違いは装備品があるかないかで判断するよう、冒険者達へのお願いもまた同様に。
と言っても、人を率先して襲う邪なる存在であれば入れないわけだが…
邪が払拭されるまで、精霊王の森で守り人達に引き取ってもらうことにした。
そうして…最短ルートで外へ戻る道を僕達はひた走っていた。
外へ出る頃には、空中都市内の異空間に移動しながら新たに造った住居へ異端児達を瞬間移動で送り、会話も可能であることを伝えて共に仕事をするよう進めさせていた。
それらの異端児は外へ出ることを望む者達であり、違う者達は出さずにいた。
水棲のそれは水族館へといったように、各々の適性に合った場所へ仕事を分け与えることになった。
バベルの塔から出る頃には15時を過ぎており…手厚い歓迎を、揃って受けた。