第47章 初めての

「洗脳されそうで怖い」

ふと聞こえた一つの声に、ケイトは即座に返した。


「誰がするか。

私が強いるのは、3箇条（三善美）だけだ。
これだけは譲れないという点に他ならない」と。


そしてこう続けた…



ケイト「個人の思想は財産だ。

同じ視点ばかりだったら気付かないことにも気付けなくなる。
皆同じだったら逆に困る。

違うからこそ、違った思想、考えに気付かされることもある。
違わねば、気付かないことの方が多いのだから。


だから、それ以外は別に縛ろうとも思わんし在りたいように在ればいい。

あの世に行った時に後悔しないよう努めてさえいれば、それでいい。

その形が人によって違うだけで、それが個であるが故のものだろう。
それを、譲れない部分を染めてでも変えろと言うのは、その個を殺し同じになれと言っていることに他ならん。

それは断じて許さん。


上の輩は、自分が建てた方針に従えと下の意見は聞かんだろう。

自分の指針に従えとばかりに全部縛って行動を制限させる。
制限しなければいけない行動というのは、確かにある。

だが…それは奴隷と何が違う？
只管に与えた役割だけこなせと強いるのは、意思も感じる疑問も奪って…傀儡としているだけだろう。


何故しなければいけないのか、何故必要なのか…
譲れぬ点を洗い出し、その上でこうすればもっとという工夫の点を教えられねば完璧なものなど完成しない。

譲れぬ点は誰にでもある。どうあっても、これだけは譲れない点は。
それが私の場合、「個人の意思を奪うこと、命を奪い傷付ける行為」、それらが許せないことだっただけだ。


誰かが苦しむのは嫌だった、傷付くのは嫌だった。
痛いのは嫌だから、ずっとされ続けて、助けられなくて、当たり前だったから…助けたいと思った。

そういう人物でありたいと、そう願ったんだ。



だから…私が仕切る国では、飾ることもしなくていい。

在りのままであっていい。
だが、無責任な言動は控えろ。徒に人の心を傷付け振り回す言動なら要らん。


間違いだと思うのなら、それはその人にとって間違いだったということだ。
遠慮なく言ってくれていいし、自分にとって譲れない点であれば悪いが変えられん。

だが私から見て間違いなら遠慮なく指摘するから、そのつもりでいてくれ。
無理に変えろとは言わないから」真剣