第47章 初めての
その日、6月12日の晩…
正統な後継者であるケイトへ、ヘレイオス街の管轄を依頼されることになった。
今更掌返しをして何をしたいのか…そう思いながらも、問題は「協力を要請された」という点にある。
攻め入れられれば助けに行くとは言ったが、協力するとは言っていない。
ギルド経由で依頼されれば受ける外ないわけだが、一番の問題はケイトの心の傷だ。
実は…新婚旅行で近くの丘に墓参りをした後
ヘレイオス街の近くに寄るだけで震えが止まらず、フラッシュバックに苛まれて大変だった。
不幸せでい続けなければ、幸せを妬んで奪いに来る。
そう15年に渡って刻み付けられた傷、習慣及び認識はそう簡単には拭い去れなかった。
3か月経った今でこそようやく落ち着きつつもあるわけだが…
全体の2割程度まで、傲慢に振る舞う輩は減った。
今でこそ随分と改善されているそうだが、それでもまだ2割も残っている。
押さえるかつ強気に諫める者がいないからこそ、殺されないとわかっているからこそ高をくくってかかるのだ。
強気かつ高圧的に出れば相手は委縮する。
殊更、ケイトは生みの父からずっとそうされ続けていたから格好の標的だっただろう。
仕返しを受けないことが当然だとばかりに、今も周りの迷惑を考えずに大声を上げてがなりたて、物を壊す輩もおり、それを周囲にまでやるよう押し付け、思うままに動くそれに更に増長し続けているそうだ。
器物破損罪と暴行罪で刑務所にぶち込んだそうだが、反省の色は皆無。
最早手が付けられないその惨状に…明日は我が身とばかりにケイトのいとこ達、その父母と祖父母一家は屋敷を捨てて去る=夜逃げを選んだそうだ。
また人間に任せるわけにもいかず、増長した輩が自分がやると憚らないことを受け、救難信号を出されたというわけだ。
結果として、その改善方法として「一度空間内に閉じ込めれば自らが人へした行為をした年月(年齢)分味わい続ける」という檻を用意し、罪人は全てそこへぶち込むことを推奨した。
中は閉め切れば異空間になり、1分で1年が過ぎる。
何分経ってもリピートのように繰り返され、誰もいない。
人へした行為を常に味わい続けることでされている側の気分を思う存分味合わせ続けるそうだ。
外へ出した時点で、精神が死のうとも治すよう設定した為…効果覿面だったらしい。