第47章 初めての
水車に巻き込まれないよう、水車を囲うように水路側にも東屋側にも『柵』が取り付けられてある。
外と水車の動きははっきりと見えるが、水車への物質及び生体の侵入を一切させない為のものだ。
ケイト曰く、絶対やるとのことで…;
(それを聞いた僕の脳裏にもありありと光景が浮かんだ、生き生きと水車の端を掴んで上へ上がっていくそれにはしゃぐ姿が…;)
強く念押しされた結果、物質の侵入を阻害する「水と空気の流体のみ侵入可能」とする『金属製の柵』を神ヘファイストスへ依頼して作ってもらい
2つの水車の周りに、水路の下の地面に達するそれを設置した。
東屋は縦5.28m,横2.4m,天井高2.5mと、極東出身の者達から見ても広いのだそうだ。
東屋の畳や床の囲い、橋にも高さ1mの木の手すりと柵があり、乗り越えられないようにしてあるのだが
畳から水路へ飛び込むこともでき、逆もまた可能。
産まれてから半月も経たぬ内(12日後)に水車に興味津々で歩み寄ろうとし、最初のつかまり立ちを果たす場所となるのだが…それはまだ先の話。
魔力の浮遊のそれを使わねば無理なので、カウントすべきか否か考え物でもある。
来年の夏頃には魔法を使ってでも泳ぎを会得しているかもしれない。
今年はボートに揺られるだけで大はしゃぎしているので、それでいいけれど…
そう考えながら、畳に敷かれた布団の上で仰向けになっているアルとディを見つめ
頬をつつく中、再び眠りについていた。
先の成長が楽しみだ…
不思議とそんな想いが込み上げて、笑みが自然と浮かんだ。
ケイト「フィン…」
フィン「ん?」
ケイト「こんな穏やかな日々が…ずっと続けばいいね//」微笑&ぴとっ
フィン「…ああ。そうだね//」微笑
僕の右肩へ頭を乗せて寄り添うケイトに、僕は微笑み
自然と右腕をケイトの右肩へ回して力強く引き寄せ、抱き締めた。
そのまま麗らかな日差しに包まれる中、気付けば家族皆で眠りについていた。
直径1.1m,高さ35cmの切株、薪割り台の上でハクとドンが丸まって寝
流れる水路ではハクエイとアン(2人共分身と交代中)もぷかぷかと流されながら寝て
爆太郎とキューイは、精霊王の森の大樹の挿し木の木陰で寝ており…
最後の2人(爆太郎とキューイ)以外は、共に日向ぼっこを堪能し切っていた。