第47章 初めての
「産まれてくる環境は選べないけれど、これはひどい。
そういう人への接し方を普通なのだと学んでしまえば、それ以外の接し方ができない大人に成長してしまうのでは…
と考えてしまい、心配で堪らなくなる」
「何が間違いか、正しいか、それを選択するのは個人の思想、考え方次第。
何を許し、何に怒るのかも人それぞれだが…
そのやり方だけは頂けない。
苦しんでいる相手をさらに苦しめて孤立させて何がしたい?
そんなに人格を破壊させるよう追い込んで、追い詰められて壊れてゆく様を見て楽しいか?」
「自分のやったことでもないそれへの苛立ちをぶつけられて当然と思うか?
生みの父から殺されかけているのに周囲へ同じ接し方をしていないことをまず不思議に思え。
英雄になれた要因は十中八九それ。器が違う。
与えられた痛みを返されないだけマシだと思えんのか。
胸が張り裂ける想いごと突き返されても不思議ではなかったぞ。
それを許さなかったのはケイトの思想で、それに今も守られていることにさえも気付かないのがより一層腹正しい」
「かなり怒りを抱く意見が多いらしいが、一つ言わせてもらう。
人のことをとやかく言う前に向き合え、理解してから同じこと言ってみろ。
触れてさえもいないのに決め付けて喚くな。より傷を抱かせる&新たな災いの種。
その振る舞いこそが傲慢で勝手なのだと気付け。
自らの視野こそが全て、抱く思想が正義なのだという柵(しがらみ)を取っ払え」
等々と…凄まじい量の紙が山のようにあった。
ケイト寄りの意見が非常に多く、共感を示す旨が書かれた紙もまた多かった。
「あれだけ責められ否定され続けているのに、何故人の為に動こうと思えるの?わからない」といった意見もあったが
それは僕も思ったことであり、至極当然な疑問だとも思う。
ただ…本人が同じ痛みを知って欲しくない、味わって欲しくないという願いからに他ならない。
媚びていると喚く輩もいるが、こればかりは魂の頃から決して変わらない本質、つまり根幹なので仕方がない。
変われと言われても無理な部分だからね。
「こんな街ではまともにいれない。まともが何かもわからなくなる。
でも、育った環境で、触れ合った人達で、やはり変わるのだと思う。
学びになりました」という意見もまたあった。
ケイトは…目を通す気は一切ないようだ。