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Unlimited【ダンまち】

第46章 空中都市





私は幼いながらに、国の全貌を見て回っていた。

しかし…貧しかった。
土地も、心までもが…飢えが人をここまでに変えてしまった。

餓死する者も居る中、護らぬくせにと財をせしめる貴族や王族を責めた。


私は決心した。
この国を変えるのだと、土地も心も豊かにするのだと。

奔走した。奔走して、奔走して、奔走し続けて…
貴族と王族の贅沢を禁じ、民を大切にし、共に生きていくために支え合おうとした。

しかし…現実は残酷だった。


どれほど頑張ろうとも、どれほど金が実ろうとも…

心が、飢えが満たされることも、豊かになることもなかった。

挙句の果てに息子までもが影響されて変わってゆく始末で、より絶望した。



だが…それでも…この歩みを止めるわけにはいかなかった。

そうでもしなければ…需要がさほどないこの国は、長く生きることなどできないのだと。

ただただ必死だった。


そして彼女に諭された。

神に至った彼女は言った。人は完璧ではないのだと…

目の前にある壁は、自分が作っているものもある。
神が乗り越えるべき試練だと与えているものもある。

全て…必ず、どこかへ繋がっているのだ。と…



そして私は…息子と、民と向き合った。

二人きりの時間を作って、ようやく息子の意図がわかった。


他国へ向けて、より大変な時に飛び回っている私の行為が気に食わなかったのだと。

俺よりも母よりも国がそんなに大事か?何故病気の時でさえ見ない!?と鬱憤を募らせていたことを。


領民もまた、豊かにこそなったが食糧を国から与えられることが当たり前になり
たとえ何もしていなくとも飢えていれば勝手に与えられるそれに甘え、愚かな行動に移していたということ。

だからこそ反発する領民もいたこと。

それらを知り、その上で…どうあるのが皆にとって最良なのかを最初に話し合った。



それから政策一つにおいても皆と話し合い、皆にとって折り合いの付く形を求め、それが続いて行った。

地区に住む民の意見を纏める組頭、組頭20名の意見を纏める筆頭。
その筆頭と貴族と王族が話し合い、皆の意見を纏めるという形を取り、それを『議会』と名付け、成功を収めた。


その後、その在り方が300年以上も続く礎になるとは思いもせぬまま…

皆と繋がり合い、共存し合える国を作ることに成功したのだった。


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