第46章 空中都市
その不評は、逆に好評にもなり得ていた。
理由は…子供連れの客だ。
犯罪行為をすれば硬直し、動けなくなる。
その結界内限定の機能も相まってか、より安心して子供を遊ばせられると喜んでいた。
その代わり、やってはいけないこと(犯罪行為)は
何故してはいけないのか、何を及ぼすのか、きちんと教え込んでいた。
つまり、図らずとも…それを教えるという目的において、安全な「格好の場」となっていた。
ケイト「なるほど…
安心して子供を育てる場としては最適となっているというわけか」
フィン「警備隊も、犯罪行為を犯した者を捕らえる際以外では巡回に努めるだけで済むそうだからね。
ただでさえ、1日ごとに休日と働く日を交代交代にしているし。
なおかつ、例の機能…犯罪を犯す直前、つまりは犯罪を犯そうと触れた直後
犯罪となる行為が自らの意思で実行された直後というタイミングで硬直させるそれのお陰で、かかる手間も大分と少ないからね。
君の人にかかる手間を極力減らそうとする努力、そちらの方のベクトルが強過ぎるのだろうけれど^^;」
ケイト「それに対するこだわりは強いぞ!」
リヴェリア「まあ、ともかく…
子育てに向いている場であることは否定できんな。
相手を下に見る言動、引いては誹る等の侮辱や言葉の暴力もない。
ただ…社会では下賤な輩が多い。
表面上は上品に振る舞っていても、心の内では下劣なことを考える者もまた同様にな。
だから…(俯)
外に出た時に得た経験のギャップで、自殺するまで思い悩まないか…少し心配ではある」
ケイト「なるほど。そういう捉え方もありだね」
フィン「のびのびと育てることには違いないのだけれどね…
念の為に、組織に入る上では「個」は要らず、ひたすらトップに同調しろと強要されることも教えておくべきかもしれない」
リヴェリア「そもそもだ。
ケイト」
ケイト「ん?」
リヴェリア「お前や、子供のような純粋なままでいられる人間は非常に極稀にしかいない。
殊更…あのような苛烈な環境に置かれてもなお、そういられる者も。
される理不尽、誰も助けようとしない環境、下に見られるばかりの扱い…
普通ならば…到底まともではいられなかっただろうと、私は今でも思う」
ケイト「お陰で得られたものもあるから、それでいい。
それごと私なんだしさ」