第6章 厄災と対策
冷静さを取り戻した頭で考えて、やっとわかったようだね。
フィン「うん。これからは表立って、君を街から護れる。
安心していい。街には二度と行かせない。緊急時以外は絶対に。
もう二度と、あんな奴等とは『僕が』会わせはしない。
何があっても護るから」
未だ腰が抜けて動けないケイトを再び抱き寄せて頭を撫でながら言うと…
ケイト「ぅっ…;
ぅあああああああああっ;;;
ああああああああああああああああああああああああああああっ;;;;;;」
再び号泣し始めた。今度はしゃっくりもあげながら。
嗚咽が止まらず、涙も止まらず、会話さえもままならない。
そんな中で、「もう大丈夫だ」と声をかけた。
それに、なおさら泣き叫ぶ声の音量は上がった。
今日は泣かせてばかりかな…いや、それほどに押さえ続けてきたものなんだ。仕方ない。
そう考える中、一つの声がかけられた。
「ごめん」
フィン「?」なでなで←無意識の内にケイトの頭を撫でている
「ごめん。一言だけ言わせてくれ。悪かった。帰るから。
気を悪く、しないでくれ。済まなかった。
そんなに傷付けていたなんて知らなかったんだ」
フィン「そう。くれぐれも街の人達に言っておいてね。
今更ケイトを祭り上げた所で、ロキ・ファミリアに属したこと目当てのようにしか見えないと。
ケイトの故郷のよしみで、危なくなった時だけ駆け付ける。ただそれだけの関係だ。
くれぐれも、ケイトのバックについているからといって勝手な行動は起こさないように」
「ああ。必ず伝えるよ。ごめんな」
フィン「あ、あとこれも伝えておいて。
一つのことでそれをして当然という理屈なら、ケイトがされた傷と同じ年数と回数分、『ずっとやり続けてたっていい』って理屈になる。
傷付きたくないのなら、人を容易く傷付けないことをお薦めするよ」
「わかった…ありがとう。そしてすまない」深々お辞儀
そう言ってから去っていった。
その後、丁重にお帰り頂くよう指示を出した。
無論、ケイトから発せられた思念も受けて気に食わなそうな眼を向けられてはいたが、傷付けるという行為を取るものはいなかった。
そうすれば街の人達と同じになるからしないようにと指示していたのが効いたようだ。