第45章 魔術式
そしてティオネから…
どさくさに紛れて、抱き着かれていた…;
正面からはケイト、背面からはティオネといった感じに…;
僕ごとケイトを抱き締めているので特に言及されることもなく;
ケイト「グレイロアのロアって言い伝えって意味だよね?」
精霊王「む?
それは違うぞ。
灰の中で「吼える」「大声をあげる」という意味の『roar(ロア)』じゃ。
モンスターを倒し倒し倒し倒し…倒し切るその瞬間までその灰に塗れながらも
その中で高らかに咆哮をあげ、勇猛果敢に戦い抜き護り抜いた、モンスターの軍勢にたった一人で打ち勝った英雄じゃ。
お主もまた、同様に単独で隻竜まで倒したじゃろう?」
ケイト「あれ?;Grayloreだとばっかり;
「知識」「言い伝え」「学問」などの意味の『lore(ロア)』」
精霊王「今すぐ書き直してこんか!;
いや…伝説となった、言い伝えとなるほどの功績を残したという意味では合っておるか」
ケイト「それはそうと…例のLv.7の冒険者って何者だったの?」
フィン「?…オラリオへの襲撃の下準備に参加していた、彼のことかい?」
ケイト「うん。水魔法を使う奴に従ってたLv.7?」←1199ページ参照
フィン「ああ…彼は元冒険者でね?
二つ名は【ナイト・オブ・ナイト】。
海を渡った先に、発現した例の水魔法を悪用してオラリオに攻め入ろうと徒党を組む一派を止める為に彼のファミリアに潜入し、名を伏せて再び冒険者となったらしい。
というのは建前で…自分のいないオラリオがどれだけ強くなったのか試したい、隻竜を単独で倒した君とも戦ってみたいとか…
ギルドの尋問によると、それとは別に色々理由もあったそうだけれどね^^;
ラウルのことを君だと勘違いしていたそうだ」←1200ページ参照
ケイト「でも、ちゃんと釈放されたんだよね?」
フィン「ああ…
例の密告、ギルドへの「怪しい動きがある」との匿名の進言(1195ページ参照)も彼からだったわけだからね」
ケイト「うーむ…戦ってみたい、かも」ぼそ
フィン「その時は是非、僕も久々に手合わせ願いたいな。
一昨年のグランド・デイを機に冒険者をやめて以来、ずっと彼とは疎遠だったからね」微笑
そう世間話をする中、なおもケイトは僕等と目を合わせて会話をしながら、魔術式の開発に勤しんでいた。