第45章 魔術式
ベッド後ろの枕に背を預けたまま、ぼろぼろと零れ落ちる涙が滂沱ほどに勢いが増していった。
今とかこの落差が激し過ぎるあまり、大切にされ過ぎるあまり…
皆が同じことを相手にしそうで怖い、同じになりそうで怖い、とぼそぼそ呟いて教えてくれた。
大切で仕方がないからこそ、そのように捉えられることが許せない。
それは私も同じなのだと、自分が関わったせいでそういう解釈をされること自体こそが嫌なのだと。
アイズ「ごめん…止められなくて。
知らず知らずの内に、追い込んでたんだね」なで
ケイト「でも…やりたくないことや、なりたくない形は、そのお陰ではっきりとしてるから。
実際に身に起こらないと、その気持ちがどんなものかなんて言うものはわかり得ないし。
何にせよ…他の人達ではできないような「いい体験」だったと、やっと処理した所なのに」
ティオネ「……
一番囚われているのはあんただったわね;
その…ごめん」
ケイト「気にしないで。
処理はするにはしたけれど、当時の感情までは流せないから…;
憎んだり殺したいとかの恨みは「何があったとしても絶対消えない自信がある」ほどに、現在進行形で既に確立しちゃってるわけだけれど;
だからこそ…余計に、辛いってなっちゃうんだと思う。
その過去があったからこそ、学びはあったよ。
悪を裁くことより、「捉える人によっては、必ず自分の中に悪がある」と気付かせることの方が大事だと…そう思った。
相手が気付かなければ、変わろうとしなければ…
きっと何度でも繰り返すし、そういうことをする行為そのものを悪とも思ってないのが見て取れたから。
正確にはさ…悪なんてものは、人の観点で簡単に変わるんだ。
だから…自分にとっては悪でなくても、人にとっては悪と映る。
一概にこれはやっちゃダメってのは人それぞれの価値観や考えで違うし、本人の主義とかでも大分と変わってくるわけだし。
そもそもが許される範囲と定めるそれさえも人によって変わっているから。
他の人には他の人の人生があってだからこそ、確立したものや譲れないものがあるから。
一個人の私にはどうにもしようがないんだ;
言って変わるのなら、最初から変わってるだろうし…
裏を返すと…私はそれほどどうでもいい存在だったってわけだし」ずううん←肩落とす
『………ドンマイ;』汗