第45章 魔術式
ガレス「!
(眉間に皺が寄っとる…やはり、当時のことが想起して辛いか?)
ティオネ、その辺でやめておけ!」
ティオネ「周りの人からの今後の評価が気になるから、そいつだけ嫌って貶めればいい。
周りに流されてそう認識すればいい、そいつと向き合わないでいればいい、言って悪いことも散々ぶつければいい!」
ケイト「やめてよ」ぽつり
ティオネ「「苦しんでさっさと死ね」って言ってるのも同じよ!!」
ケイト「そうだよ。知ってる」
ティオネ「それ以外、あんたの観点からは映ってないでしょ!!?」
ケイト「わかってる!」
ティオネ「あんた!
生みの父からそうされた上で、学校でも毎日され続けていたんでしょ!!?
見てただけの周りの連中も、実行していた輩と同類よ!!」
ケイト「もうやめて!!!」
『!!』瞠目
ケイト「やめてよ…
当時のことはっ…もう、何も思い出したくない!!
何より…自分の精神の方が、耐えられないっ」ぽろ
『………』
肩を震わせ、双眸から涙を流しながら、ケイトは声を発した。
ケイト「というか!!こっちの話も聞いて!
そのお陰で…だからこそ…
自ら私に関わりながら、そういう風にしてこなかったことが…死ぬほど、嬉しかったんだ。
そんな人が実在するなんて…都合よく助けてくれる人が現れるなんて…味方してくれる人さえいるなんて……
全部…その全部がっ…夢物語だって、思ってたから…(ぽろぽろ&俯)
既に日常だったから、やめてって言いたくても声出なかったし、誰も全然気付いてくれないし!
笑って自分の日常を堪能してるし!耳も傾かなければ尋ねもしないし!!誰も彼もが笑ってるし!!!
だから蒸し返すのやめて!;キリないし!;
こんな想い!語ってったら10年は潰れるよ!!
それだけを語ってったら!それぐらい続けられる自信あるから!!;
そんな10年過ごすより、皆と一緒に…やりたいこと、他にあるのにっ;
勿体ないよっ;;(ぼろぼろ)
何より…やっぱり…嫌だ。
苦しい想いばかりが込み上げて、やっぱり嫌だ;;」
ただでさえ過去のことで追い詰められていた。
自分を大切にすることが普通なのならば、それまでの日々は一体何だったのだ、あの仕打ちで苦しむのが普通だとされてきたのは一体何だったんだ?
思い出す度に生じる疑問が、彼女を苦しめていた。