第45章 魔術式
ケイト「ぽりぽり)…←後ろ頭を掻く
互いにしんどいことが増えるから?」
フィン「その事なかれ主義が仇になるんだ!
その優しさが逆に厄介事の種になるのは、君が一番身を持って知っているはずだ!
君には学習能力がないのか!?」
ケイト「あるよ!
でも……」
フィン「でも…?何だ?」ずいっ!
ベッドに腰かけたままのケイトの顔へ、自身の顔を近付けながら尋ねた。
頼むから…その部分だけは変わって欲しい。
そう心の奥底から湧き続ける願いは、果てを知らなかった。
ケイト「でもなあ…
実際に相手が苦しむ様を見るのは、嫌なんだ」
フィン「!?」
ケイト「殺したい以外の想いが無くっても、それでも…やっぱり、あの痛いほどの苦しみはよく知ってるから。
大切な人が苦しんでいる姿を見るのって、嫌でしょ?
その人を苦しませるのが因果応報だとしてもさ…
その人を大切に想っている人まで苦しい、痛いって想いをさせるのは…違うでしょ?」
フィン「どこまで馬鹿なんだ!!?人がいいんだ!!!??」
ケイト「うーん…今日はよく叫ぶね?
そんなあなたも好きよ//」ちゅっ←唇を奪う
フィン「!//話題を逸らすな!」
ケイト「はははっ^^//
私の代わりに…怒ってくれてるんだよね?
ありがとう^^//
とっても嬉しいよ」微笑
フィン「っ…(ぎりっ!)
また…
僕達がいなくなれば、また…
君へ同じような人達が集まって暴利を貪ることぐらい、目に見えているだろう?」項垂れる
ケイト「…たとえそうでも…私はそうするよ。
やっぱり…それが、私という答えの一つだ。
それを無くしてしまえば…
私は、私でさえなくなっちゃうんだよ」小声
フィン「!!」瞠目
ケイト「だからさ…そこだけは、どう在っても…絶対、変えられないから……
そこだけ…頼ってもいい?」苦笑
縋るような眼をして、僕を見つめた。
震える声…
そこから、再び地獄のようなそれに落ちるかもしれないという恐怖、不安、怯え……
ケイトのその様子から…たった一人では処理し切れないほどの感情の淀み、奔流に包まれているのを感じた。
言い知れようのない激情に囚われているのは…他ならぬケイトだった。
僕達の怒りよりも深く存在感を醸し出すそれに、僕は信じられないものを見るかのように目を瞬かせた。