第6章 厄災と対策
その瞬間、沢山の思念が雪崩れ込んできた。
「大ボラ吹き」
「本当は傷付けられてないくせに」
「またこの子が嘘ついて」
「傷付けたのはそっちだろうが!」
どこが悪かったの?教えてよ。言ってくれなきゃわからないよ。気を付けられないよ。
「近頃生意気だよな」
「身のほどってもんをわきまえろよ」
?何で普通に動いているだけでそう言われないといけないの?
「残念でした、またどうぞ~ってか♪」
「また引き取り主が現れても同じ末路だっての」
「そうだな!あっはっはっはっはっ!」
『あっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!』
ここまでが、黄昏の館に拡がった思念のそれだった。
ケイト「うああああああああああああああああああああ!!!」真っ青
だっ!!!!
ガチャガチャガチャガチャ!!
必死にドアを開けようとしてるね。
けど無駄だよ。鍵をかけておいた。
冷静でなくなった頭では気付くこともできないだろう。
「あの」
ケイト「ひっ!」
「その、g」
ケイト「いや!!いやああああああああああああああ!!!!;」だっ!!←震えながら首を横に振り、走り出した
やっぱりこっちに来たか。
ケイト「なんでっ…どうし、ここっ」
引きつった声に見なくてもわかるほどの震え、恐怖以外の感情は伝わってこなかった。
僕に背を向けたまま、その伸ばされる手に恐れをはらんだ眼を向けて悲鳴を上げた。
やはり、こうなったか…改めて聞いてみると断末魔に近いな。
「すm
ケイト「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!;
わあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!;;;」
やはり号泣しだした。フラッシュバックを引き起こすのは当然。
ただ、問題が一つだけある。再び自我が崩壊することだ。
それを防ぐ手段は一つだけ。安心させること。
傷付けない存在、護ろうとする存在が隣に居れば落ち着くはずだ。
そう考えながら僕は、ケイトと彼の間に入った。
するとケイトは腰が抜けたようで涙を流しながら膝から崩れ落ちて、頭を抱えて震え出した。
そこまで精神的に追い込まれたケイトを、僕はそっと抱き締めた。
頭を撫でると、その震えが少しだけマシになったように感じた。