第44章 出産後
ケイト「何もっ、私はッ!!」ぐいっ!
フィン「!」
両腕の中のケイトが右手で僕の胸ぐらを掴み、自身の方へ顔を引き寄せ
涙でぼろぼろの双眸を瞬かせながら、僕の双眸を見つめた。
ケイトの左手、僕の両手は未だ互いの背に回したままの状態で…
ケイト「私は…私は…何も、返せてないっ;;」
涙が頬を伝い落ちる中、そう呟くケイトへ頭頂部を右手で撫でながら返した。
フィン「返してくれたよ。
力になろうと奮闘してくれた、人造迷宮クノッソスでも尽力してくれた…
全てを賭してでも護り抜こうと、大切にしようと…僕達の為に全てを出し尽くして…死に掛けてまで」
ケイト「それでも全然返せた気がしない!!;;」
フィン「それはこちらの台詞だ。
僕自身…君に受けた恩は計り知れない。
他の皆も、同様に何かしら抱えているだろう。
その中でも…同じように、救われた人がいる」
ケイト「そんなことない!!;
私の方が、私ばっかり…
そう、接してくれることがっ;;なくって、だからっ;;」
フィン「強情だね…(苦笑)
僕達の想いまで、勝手な憶測で決めつけないでくれ。
君に負けないぐらい、僕も…恩義を感じているんだ。君に対して」
ケイト「っ…本当に…救われてる人なんているの?;;」
フィン「いるよ(きっぱり)
少なくとも…君と出会って、変わった人だっている。
アイズも、僕も、ガレスも、リヴェリアだって…色んな人に、君は刺激を与えてくれた。
他ならない君に、心を救われた。共に生きたいと願った。
そうでなければ、重婚届にあれだけ集まるわけがないだろう?^^;」
ケイト「…うんっ;」俯&ぽとっ←涙が膝に落ちる
フィン「君は十分…苦しんだ。
人のことばかり立たせて、想って、思い悩んで、苦しんできただろう…?
もう…自由になって欲しい…
自分で自分を縛り付けることも、人にいいように利用されて縛り付けられるのも…振り払ってでも……
それが…僕の、心からの願いだ。
君は…君の望む人生を、歩んでいいんだ」
ケイト「っ;;(ぶわっ!)
馬鹿っ;あほぉっ!;」ぐすっ&ぺちっ!
掴んでいた右手を離し、僕の胸元を叩くケイトに対し
何度も想いを叩き付けるかのように叩き続ける右手を、僕は左手で掴んで受け止め
顔を近付けて双眸を見つめながら、返したい言葉をそのまま伝えた。