第44章 出産後
フィン「…おやすみ」微笑
その呟きに対する返事はない。
だが…穏やかな表情で笑うようになったと口々に言われたのは、ここだけの話。
ケイト自身も、同様のことを思っていたそうだが…やはり、それは尋ねるまで言い出さなかった。
ケイト「名前…名前……名前……」ギンッ!!
フィン「そんなに深く考えるものではないと思うんだが^^;」
ケイト「だって領主になるんだよ?流石に街の名前ぐらいは…ね?
安易に自分の名前を使ってヘレイオス街なんて、私は絶対嫌だし」
フィン「空中都市ケイトか…いいね」
ケイト「全然よくないよ!!ハズイ!」
フィン「……」瞠目
ケイト「?フィン?」怪訝
フィン「…ちゃんと主張できるようになったね。偉い偉い^^」なでなで
ケイト「私は子供じゃないぞ!;
まあ撫でられるのは嬉しいけど//」ぼそ
フィン「はははっ…
ともかくだ、そう気負わず気負い過ぎず…気軽に決めればいいんじゃないのかな?」
ケイト「じゃあフィンで」
フィン「前言撤回してもいいかい?;
というより、何でそういう名を?;」
ケイト「私にとって…唯一の英雄だから」
フィン「!!」瞠目
ケイト「初めてだったんだ…
帰りたいって思ったのも、ここがいいって思ったのも…
助けて欲しかった…誰も居なかった…
縋る場所も無ければ、居ていい場所も無い。
居なくならなければいけないものとしか、自分のことを想えなかった。
それが変わるにおいて、ロキ・ファミリアの皆は必要だよ?
でもさ…フィンがいなきゃ、駄目だった。
あんな風に、敵いようがない相手にも立ち向かったり…
ブランシェの時のが、襲撃の時にかけてくれた言葉(1020ページ参照)のどれもが…
私にとって、止まっていた時間を動かしてくれた…一番の、後押しだったんだ」微笑&つー
フィン「…」なで
涙を流しながら笑みを浮かべる彼女に、僕は居ても経っても居られず…
ベッドに腰かけ僕の方へ左腕で腰を抱き寄せ、右手を後ろ頭へ回して撫でた。
ケイト「だからさ…あの時の言葉、返させて?^^
私の止まっていた時間を…
ずっと抱いてた人への固定観念を…動かしてくれて……
愛してくれて…想ってくれて…大事にしてくれて……本当に…ありがとうっ;;」ぽろっ&ぎゅっ
縋り付く彼女に…僕は激情のまま唇を奪った。