第44章 出産後
アスフィ「そちらの方も滞りなく進んだようですね」
アミッド「はい。無事協力を得ることが出来ました。
『空中都市「のみ」において』という条件付きですが」
アスフィ「こちらも似たようなものです。
全員が全員、空中都市へ入れるわけでもないですから…
ただ…あそこでは「一切の犯罪が罷り通らない世界一安全な場所」ということから、「エデン」、「理想郷(ユートピア)」と俗称で呼ばれているそうです」
アミッド「空気も、今まで訪れたどの場所よりも澄んでいますからね。
「清浄な地であり、邪なる存在の侵入を許さない」と聞いていますし…
そこに作らせてもらった「薬草園」で育てた薬草の品質はどれも非常に高く、まさに…伝説に聞く、精霊王の森のよう…」ちらっ
ケイト&フィン『!;』ぎくり
アスフィ「そうですね…
そこで成長が滞り死に絶えるはずだった若木、日陰の位置上間伐されなければいけない木々を引き取り、空中都市全体にバランスよく配置されているので…
魔力だけでなく、澄んだ空気までもが辺り一帯を包み込んでいるのでしょうね。
あの場ではストレスもありませんし、皆が俗称で呼ぶ気持ちもわかります」
アミッド「いずれは迷宮都市『オラリオ』と同じように命名して欲しいものですが…」ちら
アスフィ「そうですね…」ちら
ケイト「名前…?」
アスフィ「ええ…
あなたの今の気持ちは?」
ケイト「避難所?」ぐすん
『こらこら;』
フィン「まあ、間違いではないのだけれどね?^^;」
ケイト「……名前」
アスフィ「考えておいて下さい。
あと2日…今日も含めれば2日半あるのですから、のんびりとでも」
ケイト「…ありがとう、アスフィ…
考えてみるよ」
フィン「焦りは禁物だ。
身体より大事なものなどないんだからね?」
ケイト「…うん」
アミッド「今は身体を大事に。療養に努めて下さい。
産後はただでさえ体調を崩しやすいので」
ケイト「わかった」頷
やっと布団から顔を出して対話ができるようになった彼女に、僕は安心して笑みを浮かべた。
そっと頭を撫でると目を細め、逆に手へ擦り寄るいつもの仕草に…とても安堵した。
その間もアルとディは気持ちよさそうに眠っており
気付けばケイトもまた撫でられたままうとうとと、さも心地よさそうに眠りについていた。