第6章 厄災と対策
フィン「…
(溜息)はあ。いいかい?
彼女はあれだけの目に遭って傷付いている。
モンスターから、傷から護っていてもなお、どんなことをしていてもなお傷付けてくる君達に。
ひいてはそれを見ていて止めようともしない君達にね。
君が彼女と対面することは、彼女にとっては痛みや苦しみでしかないだろう」
「?でも本当に自分はしていなくて」
フィン「本気で言っているの?」
「え?」
フィン「何もしないで見ていること。見ていながら止めもせず、笑って日常を堪能すること。おまけに見えない所で加担することで自らの身を護ること。
この中のいずれも、君はしていないと言える?」
「え…いや、それは」
フィン「それは危害の加担と見て同じだ。
見ていて何もしなかった。危害を加えていない、直接的には。
それさえなければ傷付かないわけじゃない。
目の前で見ていながら平然と笑って過ごしていられる。
傷付き、哀しみ、痛み…その光景を、そういう目に遭い続けている人を見ながら。
苦しんでいる光景を見てもなお笑っていられる。
そんな状況下で、どうして惚れると思う?
止めたことも護ったことさえ一度もなく、逆に煽る要因となった君に。
そんな街の人間に、好意など抱くはずもないだろう(溜息)
それなのに、どうしても会いたいのかい?」
こっくり
何故そこで頷くんだい;
ほとほと呆れ果てながら溜息を深くつく外なかった。
フィン「はあー;(額押)
君だったら傷付けてる側の人に惚れるかい?
それも、平然としていられるような奴なんかに」
「いや…でも謝りたくて」
フィン「それこそただの自己満足だね(溜息&腕組)
謝った所で何が変わる?過去が返ってくるわけでもない。傷が元通りに治るわけでもない。
一度開けられた穴は、そう簡単には塞がらない。元通りになるわけもない」
その言葉の後で、根本的な認識の間違いを正すことにした。