第6章 厄災と対策
「その…謝らせて下さい。本人に直接。
惚れている男だと言えばわかると思う」
フィン「は?」
「…え?」
フィン「……本気で恋しているとでも思っているのかい?それも、あんな目に遭い続けていながら」
「?」
フィン「…はあ」
昂ぶっていた怒りと熱が、呆れと共に急速に冷えていき、消えて収まっていく。
「ああ、どれほど言っても無駄な人だ」とわかるには十分だった。
その様子に、僕は両目を手で覆って天を仰ぎ、深く溜息をついた。
ただ友好を結びたいという申し出、しかしその裏は見え透いていた。
ケイトがここ(ロキ・ファミリア)にいるから、強気に出れば言うことを聞く。
そう踏んでのことだろう。
友好を結べて有事の際はより安全になるよう利用しようとしている。
そう…結局は、自分の都合の為に起こしている行動だ。
彼女のことを微塵も考えてはいない。
考えが浅いとはこのことだ。
こんな奴等の為に、何故ケイトは無茶をした?見過ごせないという意図があったからこそか。
あれほどの目に遭わされていてもなお…
だというのに結局街の人達は変わらない、どこまでも利己的で自己中心的だ。
どれほど助けた所で、その善意を踏みにじってあくまで自分が優位に立とうとしている。
ダメだ。話した時点で伝わってくる。街の人も腐っている、それも全部が。
こういうのは元から断たせるか。潰さなければいつまでも助長して付け上がってついてくる。
フィン(ケイトに力の強いものがバックについたからこそ、それを利用しようとしている。
ティオネからケイトの恋愛事情については聞かされたが、一体これのどこが一番マシだったというんだ?)ちらっ
「?
えっと…自分ならきっと大丈夫だと思うんですよ」
フィン「要するに、君は仲直りしたくてその使者としてきたと?街の代表として」
「はい!」
ああ…本当にダメだ。
与えられた役目以外のことは考えていない。肝心の彼女の気持ちさえも測り間違えている。
子供でもわかるように説明しないとダメなようだ。