第44章 出産後
「税金を取るものだとばかり;;;」うっうっ
「本当に取らないんですか!!?;」
ケイト「税金は取らないよ。
オラリオの上空に位置していて、そこで販売、もとい経営させてもらうから
ギルドから条件として収入の分け前、総合の内の1分だけは支払いに回すけれど」
「取らないとしても収入のそれ以外に何かあるのでは!!?」
ケイト「そうだな…
じゃあ、この土地を賑やかにするのを手伝って欲しい。
潤わせたいんだ。この地の心って奴をさ」
「それだけで…そのお言葉だけでっ、どれだけ救われ;;」えっえっ
「助けてもらったのだから、どうしてもお礼をしたいのですがっ;」ぽろぽろ
「あの地獄から、決して逃れることなどできないのだとばかりっ;;;」
「わああああああっ;;」←咽び泣く大人につられ、がん泣きする子供
「お礼に、我が儘を何でも一つ聞きます!!;;」
ケイト「んー…そうだな。
私のお願いは、永住して欲しい。何より、皆が幸せになって欲しい。
そして、この地を盛り上げる手助けをして欲しい。
皆が幸せになれる、差別も受けない…そんな場所にしたい。
愛し合い、助け合い、寄り添い合える…そんな国に、私はしたい。
あ、害意のある人間は入れないようにしてるから安心してね?」←1504ページ参照
『喜んで!!!!』ずさぁーっ!!!!
当初は跪く中でも絶望を臭わせる表情を誰もがしていた。
だが今では、誰もが生き生きとした表情…
ケイトの本心に触れ、その温もりに咽び泣きながら歓喜に打ち震えていた。
土下座で涙ながらに領民全てからそう叫ばれる中、ケイトは大袈裟だと思うばかりだった。
音速飛空艇の試乗で空中都市に来ていた者達が目撃しているとは知らずに…←1486ページ参照
しかし、その者達にとっては…
どこまで続くかわからぬ常闇の中に刺した、唯一の「光」だった。
領主から蝕まれ、使い潰され、全て搾取されてきた。
その荒んだ心が…市民権を買い取られた後もなお、どうせ新たな領主に利用されるのだと言って聞かなかった。
そのような時に真心を持って、高い台には敢えて乗らず…
同じ土台で、同じ地に立って…同じ人間だとばかりに語り、差別などせず、笑って受け入れられた。
その為に動ける人間だと…ケイトの持つ求心力が多く働き、領民達の心を深く掴んだ。