第43章 出産
ケイト「抱くな、抱くな、出るな、消えろ。
布団の中にくるまって、死んでしまえと叫ぶ父の怒声が遠くで聞こえる。
いつ殴られるかもわからない。いつ布団ごと蹴られるかもわからない。
心底、心から安心して眠れた日なんて一度もなかった。
また投げ付けられるぞ、耳の裏を切って手術しただろ?
大切にしてた椅子も壊されただろ?2階から叩き落とされただろ?痛み苦しむ様を見て喜ばれただろ?
今度はそれだけじゃ済まされないぞ。
そう、何度も…
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……
何度もっ…(ぽろぽろっ)
ずっと…ずっと……
それしか、何も…無くって…」ひっく
フィン「…ああ」ぎゅうっ
腕の力を強めた。
彼女はただただ、泣き震えていた。
怯えたように、怖いと叫ぶかのように…喉を震わせながら…語ってくれた。
ケイト「何も言っちゃいけない。あそこでは…それが、当たり前で…
学校でもいじめられるし…家でもいつ殴られるかわかんないし…
気が休まらないし、話しちゃいけない、餓死しようにも食べなかったらもっと痛い目遭わされるって…
もう…嫌で…それでも生きなきゃ怒られるし、生きてるなんて思えないのに、それでも生きなきゃ怒鳴られるし;;」
フィン「…頑張った。よく頑張った」なで
ケイト「生きていたくなんか、無かった!!!;;
何が強いだ…ずっと、そうされてきたから……
だから…いじめられても自殺しなかっただけだ。
そもそも耐える以外、選択肢なんて与えなかったくせに!(ギリッ)
家でやってるのと同じことして、身を震わせて何も出来ないで怯えているそれをさらに怯えさせることばかりやって、高圧的に叫べば何も言えなくなるの知っててやってくる。
家でも学校でも…されることは同じで…
殺して、感情も心も抱かないようにして、何も望まないようにして…
そうでなきゃ…育ての家族に出会うまで…生きてなんか、いられなかった。
気付けば…感覚が麻痺したまま……
誰も彼もが…そうしてきて当然なんだって…
それ以外…何も抱かなく、思えなくなっていた」
テロップ『リアルでは育ての家族はおらず、姉も母もいる中で父がずっと…という感じで、離婚できたのは24歳になってから。
麻痺していた感覚が戻ったのは研究室に入ってから後の24歳がきっかけ』