第43章 出産
ケイト「さ!一緒に寝よう!」ぱんっ!←手拍子
笑顔を浮かべ続けるケイトに…
無理に笑う必要はないと、僕は伝えたかった。
辛い時ぐらい…泣いて、甘えて欲しかった。
僕に、そうさせてくれたように…
ありのままに笑わせて、自然体で居させてくれたように……
フィン「ケイト…」
ケイト「ん?」
フィン「パルゥムの女神、フィアナに誓う。
僕は決して…君の『生みの父』のようにはならない」
ケイト「!!」瞠目
フィン「君が味わい続けた、あの哀しみを…決して、与える側にはならない」ぎゅ
両腕の中へ閉じ込めた温もりに、僕は誓った。
「あんな想いは、金輪際味合わせない」と…
「僕が守ると、安心してくれ」と……
そう想いを込めながら、抱き締める力を強めた。
ベッドの上で向かい合ったまま、跪いたまま…月明かりが窓から刺してきた。
その想いは無事伝わったようで…ケイトの双眸は未だ見開かれたまま…
涙が目尻に溜まり、不意に決壊したように次々に溢れ、零れ落ちていった。
ケイト「…っ……
誰も、信じられなかった。
大人も…子供も…皆、同じだ。
誰も助けてくれない。
言ったって大ぼら吹きだって言われたっ;;
誰もまともになんて取り合ってくれない、聞いてくれない、殺されるだけ。
大事なんかじゃない。捌け口でしかない。
いっぱいいっぱいなら、何をしたって許される。
『私だけ許されない』
死ぬ以外、何も残されていない。
自由なんて、どこにもない。
意思も聞かない、意見も要らない、心も感情も全部怒られるっ;;
泣くな。出るな。
誰も望んでない。お前など、誰も望んでない。
必死に殺した、自分なんか感じるなって殺した。
私の意見など誰も聞かない。言った瞬間に殴られてきた、蹴られてきた。
ゲームみたいに面白がってる。笑ってる。楽しそうに笑って、躾だと外では繕ってる。
私の思いなんて誰も聞かない。聞かずに吐き出されるだけ、聞いて同調しなければ怒られる。
意見も要らない、感情も要らない、消さないといけない。怒鳴られる、殴られる、蹴られる、投げ付けられる」
テロップ『リアルでも実話(補足)
当時は虐待などでの取り締まりの法律も無かった』