第43章 出産
ロキ「ケイトがやったんは…浄化するっていうんは……
他人の都合で勝手に穢された空気を、森林の自然が生い茂る清らかな空気に戻して…空へ返した。それだけなんや。
それだけのことが…誰もができへん。
自己の利益に囚われている内は、誰もできん。
ケイトは馬鹿やからな…全然、自分のやったことの重みもわかってへん。
負の感情を吐き掛けて、蔓延させて…自分のことだけ考えて生きる輩が多いっつうのに。
それやのに…自分はそうあるまいと頑張ってまう。
馬鹿過ぎるんや…あいつも、ウレイオスも。
何も、見返りも、恩返しなんざ永遠に返ってくるわけないのに。
そのくせ…人が楽しかったり、幸せで仕方なくって笑っとったら、心底嬉しそうに笑っとる。
(つー)←涙が頬を伝う
あいつはもう…始祖神の時の記憶も、想いも…全部見えた。理解してしもうた。
全部見つめた上で、それでも…あいつは護ることを選んだ。
たとえ…どうなっても、失うあの痛みは…それだけは、味合わせたない…なんて……
違うやろ。
違うやろ、ホンマは。
(すっ)←体を起こし、ケイトを見やり近付く
ホンマは…守られたいくせに、強がって…
誰からも守られんまま、勝手に一人で死んでいきおって(ぷるぷる)
馬鹿や…ホンマに。
大馬鹿野郎にも程があるわアホンダラ!!また繰り返す気かボケ!!」
ガシッ!!←ベッドの手すりを掴む
滂沱の涙を流し、ロキはケイトの傍で叫んだ。
リヴェリア「ロキ、声が大きい」
ロキ「お前はホンマに変わってへん!
全っ然変わってへん!!;何でそんなに変わらへんねん!!
恩返しくらいさせろや。少しぐらい返させろおおおお;;」ぼろぼろ
ガレス「それについては同意見じゃが、声が;」
ロキ「誤解されても、諦めて…大切な人がわかってれば、それだけでいい?
お前っちゅう存在が、どうして…わからんねや!
そないに尊い存在なんて、早々おらんで?
ええ加減わかれや。甘えろ!今すぐに!!」
フィン「あの、ロキ。今寝ているから
ロキ「夢の中に出て何度でも言うたるわボケええ!!;;
残されたもんの気持ち考えろやあああ;;
何年過ごしたと思ってんねええええん;;;」おーいおいおい
ケイトの右頬へ左頬を擦り寄りながら、ロキはただただ咽び泣いた。
2800年の空白を埋めるように――