第43章 出産
リヴェリア「所で…ケイトは寝ているのか」
フィン「ああ…どうやら全てを出し尽くしたみたいでね?
泣き止まなくなってから乳をあげて、寝付いたのを見送るように
一部始終を見つめてから…漸く安心して深い眠りについた所だ」
リヴェリア「そうか…
お前のことだ。ケイトの乳を吸う赤子に嫉妬でもしたんじゃないのか?」
フィン「ギクッ!!)…;」
ロキ「お?図星やな?!」にまにま
フィン「…また今度にしてくれ;」汗&瞑目
寛容過ぎるというのもまた問題なわけで…
気付けば、甘えるように感情をぶつけてしまっていた。
彼女の前でだけは、ありのままで居られる…
だからこそ、傷付け兼ねないとも思うのだが…
ケイトの全て受け入れ傷付けまいとする姿勢に――つい、甘えてしまっている気がする。
怒りのままに会話もせずに叩けば、恐らく…父と想起し、フラッシュバックに至ってしまうだろう。
それだけでなく、感情も、心も、欲求も…感覚までをも、あの当初のように殺して当然と思うはずだ。
それが普通だと疑わなかったように、自らの死を何度も望み、死ねず、足掻き、苦しみ、泣き叫び…
助けも来ない、誰も味方もいない…そんな状況に余計に絶望し、狂おしいほどに死を望む。
その生き方をしてきたわけだし、それを乗り越えること自体普通の人ならば決して不可能だ。
正直、ケイトの過去を常人が歩めば「狂人」となっていてもおかしくない。寧ろ当然の結果だ。僕でもそうなる。
逃げ道が欠片も無く、周りにとっていいよう追い立てられ続け、奴隷のように意思も尊重されず…
周りは苦しむ様を見て笑い、何事も無いように笑い、平然と日常を歩んでは我関せず
更にはいじめっ子は自ら関わって傷付け、自らを傷付けるのが当然と生みの父といじめっ子が洗脳し
ケイト自身もなお自身を傷付け、それを普通と考える。
正直、ここまで回復できたこと自体が――「奇跡」と言っても過言ではない。
当初こそカルチャーショックを受けていた。
育ての家族に対しても、最初にしたように…困惑し、温かな温もりに疑問を感じていた。
自分へ自ら関わってくる存在、それら全てが傷付けてこられて当然なのに…と。
それを取り払えたのは…僕達のお陰だと言っていた。
ただ、ツッコミと止める為に殴っていた時は…不思議と楽しそうに笑っていたが。