第43章 出産
できるなら代わってやりたい。
でも無理だ。
それが、とても歯がゆかった(ギリッ)
ベッドの傍についていてもなお、手を握り締めるしか…男の僕にできることは無かった。
苦しそうに額に汗を滲ませ、必死にいきみ…
汗を拭うも「邪魔!」と頭を振りながら煩わしそうに叫ばれた。
フィン「ケイト、息は」
ケイト「わか、って、…ぜぇーぜぇー」
アミッド「ひっ、ひっ、ふー。
2回吸った後、ちゃんと最後は流して下さい!」
もう子宮口も開き切っており、出よう出ようとしているそうだ。
ケイト「本当に同時に出ようとする奴があるかあああ!!;
受け継いでやるうう;孫にまでこの情報訴えかけ続けてやるううううう!;
アル!ディ!競い合うなああああ;」
フィン「……
それについては同情するよ;(なでなで)←頭を撫でる
両方に…;」ぽつり
ケイト「左手以外に触れるなあああ!!・・;」しゃぎゃー!!
テロップ『威嚇する猫のようだ』
…僕は邪魔だろうか?
でも見届けたい。
僕が父になる瞬間を、ケイトが母になる瞬間を…きちんと、この目で。
アミッド「頑張って下さい」
ケイト「今頑張ったら同時に出るんだよ;骨盤壊れる!;
(ふっ)ああ…←目から光が消える
もう、これ…夢だ…夢なんだ」ふぅーっふぅーっ&遠い目
ぐったりとしていて生気を感じられず、遠くを見つめ出した。
アミッド「しっかりして下さい!
赤ちゃんだって頑張ってるんですよ!!?」
フィン「ケイト!これは夢じゃない!!」ぐいぐいっ
ケイト「ほっぺた捻んないで;地味に痛い;
どうせ撫でるなら腰を撫でろおお;
あれ?、ゆめ、じゃない?;」
フィン「とりあえず戻って来てくれ」
ケイト「死んじゃう…死んじゃう、ぜえぜえ。
無理…もお…む…り」←息絶え絶え
フィン「声も嗄れ果てた…?;)
水を
アミッド「呼吸整えて!!
飲ませるよりも力んで!でかかってます!!」
ケイト「っ!;
ぁああああああああああああああ!!;;←必死に力んでる
意地悪うううううううううううう;;」
アミッド「そうです!全身でお腹に力を!!」
ずずっ
何かが滑り落ちてくる音が、時間と共に大きくなるのが聞こえてきた。
第一子が産まれる。
産道を通り降りるその音と共に、力むのをやめるよう指示された。