第43章 出産
手早く前々から準備していた入院キットを取りに行くとほぼ同時に、ケイトが僕の傍へ瞬間移動してきた。
フィン「!先に治療院に」
ケイト「準備、前々からしてくれてたでしょ?
一緒に行こ。
後で、取りに行って」ぎゅっ
再び、神の力を目覚めさせたあの時のように…手を握り締めてきた。
左手で、僕の右手を包み込むように…
フィン「!震えている…怖いのか…)
僕もまだまだだね(瞑目&嘆息)
君が不安なのに、後から行けばいいと考えてしまった」
ケイト「ふるふる)私が、我が儘だから」頭を振る
フィン「いいや…違うよ。
初めてのことで不安だろうに、それを優先してやれなかった。
急なことで慌ててしまったようだ。済まない」なで←抱き締め頭頂部を撫でる
ケイト「……ごめん…今…結構、やばい;(ぎゅぅっ&涙目)←抱き返して首元へ顔を埋める
震えが止まんないよ。怖い、何か…怖い」
フィン「…」←表情が険しくなる
ケイト「……まるで…あの時の、やな予感が…止まらない。
レヴィスから庇って、死に掛ける数日前から感じていたそれが…迫って」
フィン「…大丈夫だ。僕がついている。
君が目を覚ますまで、傍に居るよ。
僕達の子も、部屋に置いてもらえるようかけあってみるよ」ちらっ
アミッド「今は…妊婦の不安を取り除くことが先決ですね。
このような不安定な精神状態のままでは、母子共にどちらにとっても悪影響しか及ぼしませんし…)
大丈夫です。それくらいなら」
フィン「ありがとう…感謝するよ(微笑)
ケイト…僕達と一緒に瞬間移動するんだ。できるね?」ぽんぽん
ケイト「…ん(こく)
頑張る。
手、握ってて」すりっ←腕を背に回して自身へ引き寄せつつ胸へ顔を埋める
フィン「ああ…
産まれてから後も、ちゃんと傍に居るよ(微笑)
ただ…仕事もそこでしないといけないけれどね^^;」←とっても言い辛そう
ケイト「…うん」
アミッド「出産は、母子共に命に係わります。
特に母親の出産によるダメージは、力のない一般人が勢いの付いた馬車に轢かれた時と同じものです。
不安を煽るわけではないですが、ここからは気を引き締めておいて下さい」
フィン「…」
ケイト「…わかった」頷
不安気な表情から一転し、真剣な表情で頷くケイトとは裏腹に…
僕は、不安に駆られるばかりだった。