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Unlimited【ダンまち】

第43章 出産





どっくん!

腕の中の鼓動が、僕の鼓動と重なり合う。


互いの存在を強く感じさせ、共に在ろうという願いさえもまた強く脈打つ。



失って…失って…失い続けて……


それよりも自らの死を望んで、泣き叫び続けて…
そうして…強大な力を得たとしても私利私欲の為に振るわない「悪用しない心」を持ち、その答えに辿り着いた時……

ようやく…魂の中に眠る神の力は目覚める……



狂おしいほどの苦しみ、哀しみを知らなければ…

それほどの人生経験が無ければ…立つ資格は得られない。



神の力を得るにふさわしいか…
この世の苦難も、歓びも全て必然…それを見定める為の試練なのだと……

全てが自らを知る為の、大切な一つという存在なのだと…
だから利害に反する行為だとしても、見返りも求めず守り抜くのだと…
その為に動くことこそが、愛するということで…人として尊い行為なのだと……


常に傍にある存在に、それによる悦びに慢心しないか…
失ってもなお、次だ次だと軽んじて何も感じず考えないか…

苦しみに打ち震え涙する時…誰もおらず、孤独であっても人を傷付ける為、当たる為に自ら近付かないか……

それらの、人生を通して得続けた一つ一つが…
その全てが、それを通して何を学ばせたいのかを考えれば簡単なものだった。

しかし、それを受け入れるのは決して容易ではない。


ただでさえ人間は暴利を貪る。おこがましい。
他よりも自らを主に据え、見える世界がそこからであるのをいいことにそこだけをよくしようとする。

それが他の人間を踏みつけにする行為だとしても、他の生物を殺すことだとしても…
当たり前のようにあるそれは、普通のことだと、弱肉強食だと人に当たり散らす……

自分の利ばかりを唱え、私欲にまみれ、利益を得る為に動いたそれで人を傷付けることを悪とも思わない。


そのように自分で自分を欲求や感情、主観で縛りに縛る…

そこから…人と関わることで客観を得て成長して行き……

たとえ傷付け殺そうとする者であったとしても、それも含めた全てが大切にすべき存在なのだと…
そう思うに至ること、折り合いのつかない感情に振り回されるよりもそう自ら行動できることこそが…

目覚めの為の、第一歩だった。


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