第43章 出産
フィン「…ああ…わかるよ」微笑
そう考えると、それまでの苦労も…何もかもが、繋がっているように想えた。
ケイト「全部…繋がっている。
それごと、想えるようになれって言っている。
その為に生まれ変わる。何度でも(ぎゅっ)
怒ってくれる存在がいる。それほどに愛してくれる存在がいる。
だから…前を向いて、今という時を生きていける」微笑
フィン「…それが…君の答えか(微笑)
恐れ入ったよ…(瞑目)
僕は…僕には、辿り着けなかった答えだ」俯
ケイト「一緒に行こう…?」ぎゅっ&微笑
そう左手で右手の指先を握り、手を引くケイトに…
僕は笑った。
簡単なことであって、決して容易ではない。
そう単純に割り切れるものでもないし、それで流せるほどあの出来事(両親の死)で得られた感情は軽くもない。
何故、傷付けてきた者にさえ…殺したい以外の想いを抱かない相手にまで傷付けないように出来るのか…
今では…よくわかる。
けれど…そう想えるようになったのは――他でもない、彼女(ケイト)のお陰なわけで……
フィン「はははっ…
ああ…行こうか」微笑
ケイトの神の力に、まるで同調するかのように…
僕の中にもある…魂という存在が脈打つのを、強く感じた。
前世と前々世の記憶、魂としての記憶が…
ケイトの神の力が、魂だった時の感覚を呼び覚ましていた。
ケイト「一緒に戦おう!フィン!」
フィン「ああ!」
僕は…神ではない。
それでも…誰もが自らの魂の中に眠っているのだという。
その答えを自覚した上で目覚めること。それが最大の難関であり…到達点だった。
気付けば…彼女と共に、想いが神の力となって…宙に浮いていた。
最後の冒険の供としていく前に一つ尋ねた。
アルとディはどうするのかと。
危ないから置いていくと、すぐさま答えられた。
合流してから、まだ神の力を制御できずに出しっぱなしにしていたことが出産までの日にちを縮ませた要因だからと。
それに僕は頷き、神の力を通さないような特別製の結界を張ってから行くことを勧めた。
それにケイトは頷いて子宮ごと取り出されたアルとディへ結界を張った後…
僕は彼女の隣に立って(浮き)…
共に戦う冒険者として、世界を越えて…終末神との戦いへと、共に進んでいった。