第43章 出産
6月8日(冒険者76日目)…
最後の冒険が、幕を開けようとしていた。
ケイトにとって、今までに類を見ない…最大級の戦いが。
ケイト「冒険をしに、行ってくる」真剣
フィン「頷)ああ…行っておいで(微笑)
いつまでも待っているよ。生涯で、君だけを」なで←頬を撫でる
ケイト「…待たせることばかりにさせちゃって…ごめんね」
フィン「…それについては…僕自身が不甲斐ない点もある。
君のように、いきなり神になどはなれない」
ケイト「フィン…
知ってる?」
フィン「?」
ケイト「…皆はね、神様の子なんだよ?」
フィン「…?;何を?」
ケイト「…魂は、全員がそうなんだ。
それが現時点において、地獄に近いか、天国…すなわち神界に近いか…それだけの違いなんだよ」
フィン「…済まない。言わんとしていることが」
ケイト「だからさ…なれるよ、フィンなら」
フィン「…」
ケイト「なれるよ…絶対!(微笑)
いつかじゃなくって…今!ここで!!」両腕広げ
フィン「その…済まないが、まだLv.が;」
ケイト「そうでなくっちゃ…何で今起きたのかわかんないじゃん!
起きないままさっさと終わらせに行ってた世界だってあるんだよ?
チャンスじゃん!!」
フィン「それは…パラレルワールドという話かい?」
ケイト「うん!(大きく頷く)
フィン…目を閉じて」ぎゅっ
両手を両手で包み込むよう握り締められながら、僕は言われるがままに目を閉じた。
ケイト「…それまでの想いの歴史を、思い浮かべて?」
フィン「…」
ケイト「辛かったこと、苦しかったこと…
それでも生きたいと願った、支えとなる想い…
皆、皆…自分という一人の人間なんだ」
フィン「……」
ケイト「皆が、自分というものを知る為の、感じる為の『一つの欠片』なんだ」
フィン「…一つという…存在?」
ケイト「うん!…それを…あの時になって知った。
だから消して堪るかと思った。
皆は、自分という存在の一部。思い通りに動かないけれど、大切な一部。
世界というそのもの」
フィン「……随分と…壮大な話だね」
ケイト「皆がいなければ、私という存在がどういうものなのか知り得なかった。
皆無くして、私という存在をこれほどまでに強く感じることは無かった。
…フィン…私の言いたいこと…わかる?」