第42章 伝説
ケイト「あれが、痛かったからっ…
理不尽に与えられ続けるそれが、苦しかったから…
それを理不尽とも思わず人に振る舞うそれが許せなくなった。
母親は、父親のそれで苦しんでいた。
だからいつも当たるみたいに酷い暴言を吐きかけられて、喚かれて、それでも仕方ないんだって。
家を追われるように追い出されて、御飯はなかったけど…
私にしか行けない「精霊の森」に行かせることで、父親のDVから護る為だってことに当時は気付けもしなかった。
いつも家に帰ってはいたけれど…その度に、喚かれて……
それが、最後の最後に私を庇って死んでいった。
どっちにしろ治るのに…私なんかどうなったっていいのに、覆い被さって庇って、「愛してる」と言ってくれた。←1462ページ参照
私は…
それでも…失いたくなんか、無かったよ(ぽとっ)
生みの父親に殺されかけて、生みの母親は殺されて、生みの父親は街の人達に殺されて、私は心臓を刺されてもまた勝手に蘇って…
死にたかったのに、同級生は死ねって言ってくるのに。←823,962ページ参照
殺して欲しかったのに…だから、学校に行ったのに…誰も、してくれなかった。
死ぬこと以外、何も要らなかった。
何も…考えられなくなった。
どうせ失う、消えた方がいい、誰も望まない…自分なんて、何も要らないって……
自分の命と引き換えでもいいから蘇らせようとしても…力不足で、無理だった。
恩恵を刻まれた後になってから、ようやくできるようになったから」
語られなかった想い出が、彼女の口からようやく伝えてくれた。
その当時の想いも連ねながら、今もなお止まらない涙に、頬を伝って落ちていくそれに構わず…
それまでの想いも、今ある…大袈裟とも言えるそれの要因を、過程を伝えてくれている。
常に伝えてくれている「ありがとう」と、
たとえ世界を敵に回ったとしても「護りたい」「愛したい」と願う想いを。
何故…どうして…
それほどに、自分でも制御できないほどに想いの強さが膨れ上がったのかを――