第42章 伝説
ケイト「…」微笑
フィン「…」微笑
出会ってから…たくさんのことがあった。
ティオネ『今を見なさいよ!!』
フィン『君に出会えて、本当によかった』
ベート『俺達を見ろ!!』
アイズ『ケイト…大好きだよ?』
ティオナ『私さあ、ケイトみたいな人がいい!^^』
ガレス『安心せい。わし等がついとる。
もし敵が襲いかかってくれば間に入って護ってやるわい。
どんと構えておればいい。ロキ・ファミリア(家族)の一員としてな』
ケイト「…フィン…皆……ありがとう」
フィン「?…藪から棒に、どうしたんだい?」
その問いかけなど、頭の中にまでは入ってこず…
俯きながら、脳裏に次々に浮かぶ「皆からの言葉」に笑みを浮かべた。
何より心に響いたのは…生きたいと願えたのは……
「僕の中の「止まったままの時間」を動かしてくれて、「捨てた未来」を取り戻してくれて、ありがとう」
「君との未来を、『希望』を抱かせてくれてありがとう」
「僕の『フィアナ』になってくれて、ありがとう」
あの時の言葉は…←1020ページ参照
皆が、必死に守ろうと…
勝ち目のない相手に向かっていってくれたことが、本当に嬉しかった。
何より…すっごく…心強かったんだ。
この関係は…どうあっても崩れないんだって……
ずっと…ここにいていいんだって……
厄介者扱いもされないし、否定してこないし…
そして、傷付いていたら…とても哀しんでくれた。
親身に聞いてくれた。接してくれた。向かい合ってくれた。愛してくれた…
黙って…寄り添ってくれた……
大切な…あったかい…心地よい場所……
本来なら…私は、いつまでも精霊王の森にいて出なかったと思う。
もしヘレイオス街が発見されてなかったら…
もしヴェルフィンさんが来なかったら…
もし…誰か別の人に出会えていたのなら…
また、違った人生を歩んでいただろう。
また、別のことをして生きていただろう。
そう考えがよぎっては、嬉しくて堪らなくなった。
今という時が…皆といるこの時間が、大好きで仕方がないから――
愛おしくて、求めてやまない…大切な、存在そのものとなったから。
不意に、自然と涙が頬を伝って落ちる中…
フィンを強引に両手で引き寄せ、両の腕の中に閉じ込めるように抱き締めた。