第42章 伝説
リュー「…っく」
震え泣く声が、台所に響く。
しゃっくりがなおも上がる中、彼女は優しく微笑みかけてくれていた。
ケイト「だからさ!
ギルドのブラックリスト、指名手配犯呼ばわりはひどいと思う!」
リュー「え?」きょとん
ケイト「今すぐ撤回させてくる!ウラノスを脅してでも!!」
リュー「え!?あの、それは無関係の人も殺したので当然の
ケイト「私は納得いってない!!
絶対何か裏があるように感じるんだよね」
リュー「ですが」
ケイト「じゃっ!」
しゅんっ
瞬間移動で去っていく彼女に…
まるで、春の突風のようだと…ふと笑みを零した。
人の心を温めるだけ温めておいて、さっと手を擦り抜けて去っていく…
その在り方が…とてもよく、似ていた。
そして数日も経たない内に…
疾風のリオンは無罪放免、ブラックリストから無くなると同時に冒険者として行動できるようになった。
というのも、無関係だと主張する人々…
それらは皆、悪事をする上で邪魔者である私を消す為に徒党を組んで行っていたことだった。
それらは皆揃って犯罪すれすれのことをやっており、死人を出してもいたそうだ。
正確に言うと…それによって出た被害者が決して生き残らないよう、細心の注意を払っており…
最早、真っ当な人と呼ばれる部類の人間でさえなかったとのこと。
その調査結果を隅から隅まで記した「全ての罪を書いた紙」を提出され
ギルドが直々に調査へ踏み出た結果、真実が証明されたらしい。
よくよく見ながら掘り出してみると不正が出るわ出るわで、逆に訴えていた被害者を名乗る輩全てが逮捕されることになった。
それと同時に、私のしたことは…
被害者を減らした点のみにおいては間違ってはいないのだと立証され、冒険者としていつでも復帰できる形となった。
それをしたのが誰か…匿名の報告書だったそうだが、私は既にわかっている。
誰よりもお人好しで、温かで…見返りも決して求めない、そんなあなたに…
触れられて不快に感じなかった手を持つあなたに…気付けば、心が強く惹かれていた。
ケイト『リューが幸せなら、それでいいよ^^//』ぎゅっ←両手を取って包み込むよう握り締める
見返りは…それだけでいいと言ってくれた。
陽だまりのような、そんなあなたが…気付けば、好きになっていた。