第42章 伝説
ケイト「人を殺すってことは…確かに許されないことだと思う。
私にはできないし、やろうとしてできることでもない。
けれど…ああいう人間が、今もまだ生きていたら…被害は、今頃もっと増えていた。
死んでいた人も、もっと増えてた。
苦しんでた人も、悲しむ人も、もっともっと増えてた。
少なくとも…リューのお陰で、被害者は減ったよ。
今も悲しんでいる人達が、いるはずだった…
苦しみ泣いている人達がいるはずだった…
でも…それは無になった。
その人達が起こすはずだったそれは、未来永劫無くなった。
私も、その被害がなくなった人の内の一人だ。
この世界に居る皆が…その被害に遭うという可能性が0になった。
少なくとも…その人達によって付けられるはずだった傷は、事前に無いものとなった。
だからさ…ありがとう、リュー。
リューのお陰で、被害は…少なくとも、殺してくれた人達の分だけは確実に減ったんだよ。
だから…ありがとう^^」
リュー「!…」涙目
アリーゼ『リュー…
私のしたことで、救われる人達がいたとして…
「ありがとう」って言ってくれる人が、思ってくれる人が一人でもいたら…とても、嬉しいよね!^^』
リュー「っ…」涙
気付けば…再び涙が台所の床を濡らしていた。
かつての友の声が、頭をよぎり…耳から離れなかった。
歯を食い縛って我慢しようとしてもなお、それは溢れ出ては止まらなかった。
つい先程まで滂沱の涙を流したというのに、それは止まってはくれなかった。
ケイト「私にはできないことをした。
今も苦しめられてるはずだった、たくさんの人達を減らしてくれた。
リューは…優しいよ」微笑
リュー「そんな…ことは…」
ケイト「リューはさ…人を殺した罪と向き合ってる。
その重みも背負って、その上で…今、ここに生きてる。
その重みも罪も全部都合よく無視して、繰り返す連中とは全然違う。
悩んで、悩んで、苦しんで…
それでも…生きるって決めたんでしょう?
なら…大丈夫だよ。
私はさ…そんなリューが大好きだよ^^」
そっ
前を向く、手助けをしてくれた。
私の手を…両手で握って、包み込んでくれた。
心から…触れたいと願った……
その清らかな手は…とても温かく、優しかった。