第42章 伝説
ケイト「あのさあ、人を苦しめたくてやったの?」
リュー「いえ、そういうわけでは」
ケイト「でしょ?
人を倒して、自分が強いって証明したいからなんかじゃないでしょ?」
リュー「当たり前です!
何を言っているのですか!!?」
泣き止んだ後、彼女は徐に尋ねてきた。
ケイト「頷)うん^^
やっぱりそっか」
リュー「一体何を」
言いたいのですかと言おうとした矢先、彼女は言葉を被せてきた。
ケイト「苦しんでいる人は、苦しめられるはずだった人達は、無くなった。
苦しむ人達を、同じ被害に遭う人達を、無くしてくれた。
苦しむ人達を見るのが嫌だった。
悲しむ人達を減らしたかった。
その苦しむ人達の為に怒り、悲しむことができる…
それを減らす為に尽力できる。
それを正義って言うんだよ!
リューのやったことは、正義だと私は思う」
リュー「ですが…
あれは、到底正義などと呼べるものでは…」俯
ケイト「あのさあ…少なくとも、ああいう人達は人を苦しめても何とも思わない人なんだ。
人を踏み付けにして、命を奪って、苦しませて…そして自分さえよければ笑ってられる連中だ。
踏み付けにしている人達はいいかもしれない。
でもさ、踏み付けにされている人達は堪ったもんじゃないんだ。
悪いこともしてなくっても、そういうことをされる。
苦しむ様を見て笑われる。奪われて嘆くそれすらも力任せにして笑う。
それがいなくなった…
その人達がいなくなったということは…
裏を返せば、その被害者がいなくなったということにも繋がるんだよ」
リュー「!」
考えたことが、無いわけではなかった。
しかし、それでも…
死者を自ら出し続けていったという点は変わらないことが、私にはどうしても無視できなかった。