第41章 終末との戦い
そうして泣き止むまで、抱擁はやめず…寄り添い続けていた。
数分も過ぎた頃には、やっと落ち着きを取り戻したようで…
正面に向かい合いながら、立ち上がって話をしていた。
ケイト「飲み会へは来ないか?
付き合うぞ?
お前は酒、私は果実水でも飲んで思い出話でもしないか?」
ガイア「いいえ。
非常に魅力的なお誘いではあるのですが…
あなたともう少しでも長くいれば、気付かぬ内にウレイオスとして接してしてしまいそうなので」
ケイト「そうか…
…済まない。
私は、ウレイオスにはなれない」
ガイア「ええ…
私は、愚かな人間と同じ真似をしてしまいかけていた。
誰か別個のそれになれということは、「元々あった個を殺せ、無いものとしろ」と言っているのと同意義。
なんて浅はかに求めていたのでしょうね」
自嘲気味に笑って俯く神ガイアに、ケイトはそっと頭を撫でた。
ケイト「それが…生きる上で避けられないことだ。
いつの世も、いつの時代も…誰もが、求め合っている。
霊は消えない。魂も消えない。
主護霊や、様々な役割が生み出され、ご先祖様が見守ってあるように」
ガイア「ええ…
全てが…何もかもが…過去というものを礎に成り立っているもの。
だからこそ…今という時を無くせば、全てが無に帰してしまう。
必死に護ろうとしたのは…
それで再び混沌(カオス)、何もない空間に戻すまいとしたからなのですね」
ケイト「ああ…争いは、何も生み出さん。
一時的な満足感でしかないし、欲求を満たすものでしかない。
それに…どれほどの犠牲が生じ、どれほどの哀しみに暮れるものが出ようとも……
己のことしか考えられず、己が正義と、己さえよければ良いと…
そういう浅はかな個がいる限り、闇は常に発生される。
自らの責を蔑ろにし、人だけに押し付け、責任も取れん輩が数多くおる。
だが…それ以上の負の感情に支配された時…
全てが無に帰し、何も生み出さず変化もないただの「空間」と化す。
その経験をもとに生み出されたのが、この世の理だ。
それを学ぶ為、そういう輪廻が…理が、組み込まれた」
ガイア「だからこそ…ですか」
ケイト「ああ…
不思議なことに、そうあったという記憶と感覚が伝わってくる。
力を取り戻すだけで、随分と長い時がかかったがな」苦笑