第40章 果てのない悪意(闇)
ケイト「朝のって、不毛な議論だったよなぁ…
それよりも前を向くこと。
昔あっての今だけれど、今とちゃんと向き合うこと。
そう言っていたはずなのに…どうしても、怒りが止められなかった」
あの騒動に一区切りがついた後…
僕とケイトは怒られ、仕切りの木壁の修理に駆り出されていた。
それが終わった所で、大木の根元に腰を下ろして天を見上げながらケイトが呟いた。
フィン「彼は、君のような謙虚とは正反対なタイプだからね。
不遜なあの態度が鼻につくのも仕方ないが、相手にしないに限るよ」瞑目&肩すくめ
ケイト「そこが難しいんだよ;」はあっ
フィン「相手は絶対に変わらない。
人に言われて変わるくらいなら最初から苦労するはずもないだろう。
捉え方を変えて折り合いを付ける外ないんだ。
まあ、その想いや怒りはどうあっても消せないだろうから…
要は、その持て余した感情とどう付き合っていくかという話になるんだけれどね」
ケイト「どうやって…共存していくか、か…」
フィン「そうなる(頷)
少なくとも…僕は……十分逃げた」
ケイト「へ?逃げた?
フィンが?どこが?
フィン「ぷっ
そう見えるかい?^^」くすくす
ケイト「うん。だって…勇者になったじゃない」
まるで信じられないとでも言うかのように目を丸くして見つめてくるケイトに
僕は笑い、満天の星空を見つめながら少しずつ話していった。
フィン「……違うんだ…
僕の本質は…英雄なんて呼ばれるものじゃない。
人工物であり、なろうと足掻き…名声を求めて、縋り付いてでも…守りたいものがあった。
これから産まれてくるパルゥムが苦しめられないように。胸を張って人生を歩めるように…
今この世界で生きている小人族(パルゥム)の為に、僕の人生の全てをかけてでも…小人族の誇りに、希望になろうとした。
所詮は…英雄は英雄でも、人工物に過ぎない。
君のように、心から真っ直ぐに…全てをかけてでも他を護ろうと気付けば動いている。
そんな天然物とは、根本的に違う。
僕の進んでいる道は、君のような澄んだ道ではない。
打算もあれば裏表もある。清濁を併せて呑んでもなお貫いてきた。
そうしてでも――フィアナになりたかった」