第40章 果てのない悪意(闇)
ケイトから少し離れ、再び隣の席に座った。
そして面と向かい合った後、僕は考えを纏めた。
フィン「少なくとも…彼等のような類の人間は、失ってしまったのだろうね。
愛しい人が失い辛い世の中なんだろう?」
ケイト「うん」
フィン「それも要因であるようには思うよ。
それとも…人を人とも思わず、自分だけが正しいと思い込んでいる輩の可能性だってある。
自分のやること、なすこと、全てを横暴にしているという自覚さえもない。
自分の価値観が全てで、他の中でも理解できないものは排他しようとする。
君の場合は、苦しめられてきただろう人達を憂いて、殊更今後も増えるだろうことをわかっているからこそなんだろうけれど…」
ケイト「この想いは……間違ってる?」
フィン「間違ってないよ」ぽんぽんっ←頭の上に手を置き、軽く二度叩く
ケイト「…本当に?」
フィン「喜んでいる人がいるだろう?(微笑)
僕も、その一人だ。
君という在り方に、僕は心底救われた。
人も…パルゥムも…捨てたものじゃない…
そう思えるようになった。
そう思うことすらも、僕にはできなかった。
そんな余裕もなかったし、パルゥムというだけで周りは特に見下すような目ばかりだったからね」苦笑
ケイト「……」
フィン「大丈夫だ…」ぎゅうっ&なで←正面から抱き締め、右手をケイトの後ろ頭に回して撫でる
ケイト「!」
フィン「そう思えるように変えてくれたのは君だろう?
僕を変えてくれたんだ。
君自身が自分を落ち着けることくらい、簡単なことのように僕には思えるけれど?」
ケイト「けれど…?」きょとん
フィン「続きは…言わなくともわかるだろう?
信じてるよ…
君なら…乗り越えられると……」
右手で腰を抱き寄せ、頭頂部を撫でる。
ケイト「!!…」
フィン「だから…分けてくれ。
いずれにせよ、今後もそれは付きまとう。
生きている限り、決して避けられることではない。
そして僕は…君と、今後も共に生きていきたい」
ケイト「っ!」ぽろっ
フィン「世の中は理不尽でできていると言っても過言ではないからね。
その中で君という人間に出会えた、そのことには深く感謝している。
ケイト…」
ケイト「ん?」ぐすっ←涙でぼろぼろ
フィン「…号泣している所、悪いけれど…今の気持ちを聞いてもいいかい?」微笑