第40章 果てのない悪意(闇)
フィン「思い入れが全く違うからね。その意気込みも。
ご先祖様には何て言われたんだい?」
ケイト「…ぐすっ…
「ありがとうねえ」って…優しそうなお婆さんが、窓から部屋に入ってきて…
お礼、たくさん…言ってくれた。他にもいっぱい、来てくれた。
だから…これからは、家でやる。
二度と、あんな場所、行かないっ。
それがいいって、言ってくれた。ご先祖様達も、神様も、主護霊様もっ。
辛いのなら、行かなくていいよって。祈っていること、ちゃんと伝わってるよって…ひっく;」
フィン「うん…それでいいと思うよ」微笑&ぽんぽんっ
ケイト「だから…だんじり祭りも、盆踊り大会も、何もかも…
今年からは、あの日から…絶対、行かないんだ。
二度と、参加なんてするもんかっ…
人を、見せ物扱いして…好き勝手に言って、取り組みもしないでっ…
ただ騒ぎ立てればいいってはき違えて…ああいう輩は、全員死ねばいいんだっっ」
フィン「うん…気持ちはよくわかるよ。
所で、だんじりというのは一体?」
ケイト「祭礼だよ。
だんじりや太鼓台の運行でね(ぐすっ)
「伝染病が流行しないこと」の祈願、「五穀豊穣、農・漁業の収穫を感謝」と「来年も豊作・豊漁であるよう願う催し」なんだ。
でも今では盆踊り大会と同様にただ騒げばいいって、ご先祖様達の想いを勝手に捻じ曲げてっ。
伝統も、それに込められた想いも、全部…全部、踏みにじってっ!!」わなわな&ぽろぽろ
拳を握り締め、目を伏せながら涙するケイトに…再び背をポンポンと宥めるように撫でた。
フィン「感情移入し過ぎてしまうんだね。見れば伝わってくるから」
ケイト「当然だ!!!
ご先祖様達なくして私達が存在するか!!!
大事にしないといけないのに、ああいう風にある人間なんて消えればいいんだ!!!
最初から生まれてこなければいいんだ!!!!」
フィン「まあ…等しく学びという機会を与えないといけない立場なんだろうね。神様も」
ケイト「いい迷惑だ!!」
フィン「うん…僕も、そう思うよ。
科学が進歩すれば、過去の人を無いものとして扱い、挙句の果てに他を蔑ろにする、か…
過去が無ければ、文明も発達などしなかった。
便利になればなるほど慢心し、過去の誰もが胸に抱いていた「他を大切にする」という気持ちや信心さえも無くしてしまうのかな……」