第37章 アイズの気持ち
嫌いだからと言って差別はしない。
ちゃんとベルに生き抜く為の術を嫌というほど叩き込んでいた。死んで欲しくないからって…
嫌なことがあったからって、してきた人にも関係ない人にも八つ当たりもしない。
人を傷付けることを、殺すことを何よりも嫌う人だから…
真っ直ぐにぶつかってきてくれる人だから…
そんな人だから……私は…ケイトに救われた…ケイトに惚れた。
お母さんの言っていた気持ちが、今になって痛いほどに分かる。
アリア『あの人のお陰で幸せだから^^//』
私も…ケイトのお陰で、すぐ傍にあるもの全てが幸せなのだと理解することが出来た。
ケイトがいてくれたから、それまでの境遇と今との差に苦しんで、乗り越えて、過去の痛みに哀しむ姿を見てきたから…
何が幸せなのか…恵まれているのか、見つめ直して…きちんと理解することが出来た。
お母さん…お父さん…出会えたよ//←ケイトを抱き締めたまま天を仰ぎ微笑む
素敵な人に…私だけの英雄に…見てる?//
私はもう…あの頃とは違うけど、ちゃんと笑えるようになったから……
だから…安心して?…笑って、見守ってて。
不思議と、父親と母親の笑顔が空に見えた気がした。
ケイトが言ってた、温かな『不思議な体験』…それを身を持って知った。
ケイト「ぐすっ;アイズ?」きょとん
アイズ「ありがとう//」ぎゅうっ
ドンと出会ったあの日…既にケイトは『怪物は殺す』という両親を失った日の誓いを破棄させるほどに、重いものになっていた。
ケイトの想いが痛いほど伝わってきたから、止められた。
そして…他の怪物とは違うと割り切ることで、ドンは別と捉えることが出来た。←129~134ページ参照
幸せとは何なのか…それは心構え次第で変わる。
私は恵まれていた…
ここ(ロキ・ファミリア)に、受け入れてもらえたから…
両親がいなくなった後もこうして生きてこれて…だからこそ皆に出会えたから……
それに気付かせてくれたのが、他でもないケイトだった。
だから…何よりも掛け替えのない存在になった。
ケイトと過ごす内、私は…新たな夢を見つけた。
心を捕らえて離さない『闇』…真っ黒な炎……
それから救い出して純白な炎の下へと導いてくれたケイトを護ること。
皆を守って、共に前に進んでいくこと。