第37章 アイズの気持ち
アイズ「…えっと…持ってきたけど…;」たらたら
目の前の惨状に、アイズは固まった。
床に散乱する服やフックの上をさらに埋め尽くすかのように河豚が大量にいる上に跳ね続け、節分の豆が隙間を埋めるようにさらに散乱し
河豚を片手にティオネがケイトに投げつけながら落ち着くよう叫び、ケイトは半泣きで泣き叫びながら行ったり来たりを繰り返し、ティオナは必死にそれを止めようと追いかけていた。
アイズ「……クリエイト・復元」ぽつり
豆とフックと服と河豚は無にはならない。
でも…最初の問題の発端である『壁の穴』はきちんと塞いだアイズであった。
フィン「何を見ているんだい?」←ちょうど辿り着いたばかり
アイズ「…」
フィン「この状況は一体…?何が?;」たらたら
フィンが通りがかった時、鍛練場を覗き込んで固まった後、右横にいるアイズに尋ねた。
だが…答えは返っては来ない。
アイズ「……」
フィン「アイズ、説明を…」
アイズ「…私は…」
フィン「ん?」
アイズ「……見ているだけでも、十分楽しい」
フィン「…とりあえず、何があったのかだけ聞かせてもらえないかな?;
(会話になっていないんだが…;」
アイズ「……私…諦める気はないから」
フィン「!」
アイズ「黒竜を倒して…私の両親を取り返してくれた。
悲願が叶った後も、変わらず笑いかけてくれた…打ち明けた後も、寄り添ってくれた……
私は…ケイトを守りたい。ケイトだから、私は『恋』をした」
フィン「……」
アイズ「だから…たとえケイトが嫌がっても退かない。フィンが止めてもやめない!
ケイトは、私が守る」
きっぱりと正面から言い放ったそれは、宣戦布告。
いや…この恋を捨てず、抱いたまま貫くという決意表明だった。
屍は持ち帰れないので形見を取って、そして黒竜に喰われたもの達という墓が精霊の森に作られた、浄化されることを目的として。
それを皮切りに、また失わない為に修業や迷宮に潜るものだと思われていたが…ケイトとの時間に身を割き出していた。
恩恵抜きで初めて負かした人…その時点で、既に惹かれていたのかもしれない。
そして今…はっきりと伝えられた。
酒の席の時、既に結婚したいと伝えられていた。
断られても捨てないと、はっきりと伝えていた。
だからこそ…伝えようとしているのだろう。