第36章 *帰還まで
ケイト「でも…育ての家族に出会って、失って…記憶も何もかもが……
全部…消えて……」
消え入りそうになる声とは裏腹に…口端は上がっていた。
不意に彼女の目尻から涙が零れ落ち、地面へと降りかかった。
ケイト「その先で、彼等に出会って…環境が見るからに変わって、あまりに違い過ぎて…
それがショックで…おかしいよって感じて……
でも…慣れるまで、何度でも付き合ってくれた」微笑
フィン「ずきん)…」なでなで
その横顔を見るだけで胸が痛んだ。
黙って見ていられなくなった僕は、彼女の頭を優しく撫でた。
いつものように右手で…ここにいると伝えるように、包み込むように――
ケイト「気付いたら…欲なんて、無かったのに…抱くだけ無駄だからって、無気力になってたはずだったのに……
こんなにも、彼を求めていた。
それほどの日々を…愛情を、彼は与えてくれたんです。
彼の存在は…私にとって、誇りですっ……
何が何でも護り抜きたい、大切な…一番の人なんです^^//」ぽろり←涙が双眸から零れ落ちる
ぐわしぐわしっ!!
ケイト「ちょっとフィン!;挨拶中!!;」ぽろぽろ←未だ号泣中
ぐいっ!!←左手でフィンを突き放す
そう言ってくれる事があまりに嬉しくて、そう思ってくれた事が…
僕にとって一番の人だから、余計にそう想ってくれたことが愛しくて、嬉しくて…そんな想いが込み上げては止まらない、好きで仕方ない。
気付けば彼女の頭を左横から抱き締めた上で、両手で乱暴に撫でまくっていた。
溢れ出す感情のままに…込み上げる愛しさのままに、彼女の温もりに強く触れていたかった。