第35章 成長
ケイト「…水で囲った魔法を無効化する魔法、凄かったね」もぐもぐ
フィン「そうだね」ごくん
食事中、ケイトは不意に言葉を零した。
飲み込んだ後、そう返事を返す中…ケイトは食事の手を止めて考え込みながら話し出した。
ケイト「常時発動になった龍神化、物質化した魔力を纏い続けてたはずなのに…」
フィン「害意を持つものだけ全て阻んで、触れられなくするものだね。
けれど水に囲まれた場合、その範囲内にある魔法は何でも解除させて無効にさせられる。
水に囲まれさえしなければいいわけだが、あの貯水湖に入らされたのなら仕方ない。
浮遊があったとして、その水を操るという操作すらも彼の魔法には含まれていた。
最終兵器と言える9つの貯水湖の最奥の底…
それを通じてオラリオを滅ぼそうとしていたようだが、僕達が倒して止めただろう?」
ケイト「うーん;空間魔法さえも、か;」
フィン「ああ。まるで一種の結界だ」
ケイト「魔操作で魔法を精神力と魔力に分けて吸収できる自信があったけれど…水で囲まれた瞬間、魔法は全部無差別に消えた。
詰まったお陰でその先にある空気のある空間を通して地図を紙に書いて、最奥でスタンバイしてたレフィーヤに送った。その後でドラゴン・ソウルを発動させて衝撃波で水を追い払おうとしたけれど」
フィン「ドラゴン・ソウルよりは龍人化(ドラゴニュート)だね。
だとして…物質化した魔力で押し返したとしても囲まれれば即アウト。
クリエイトで空気を生み出して近付けまいとしても、自分を中心に囲まれさえすれば全て解除される。
水に触れる触れないに拘らず発動するから、厄介なことこの上ない」
ケイト「水を全部無くしちゃおうってのは見事だったね」
フィン「君という囮ありきだけれどね。
君がもしもう少し長く引き付けていられなかった場合を考えると…彼は、空気中の水を操作することに集中していたかもしれない。
君の【英雄】、【救世主】という御高名あってのものだ」
ケイト「そういう言い方、あんまり好きじゃない」むすっ
フィン「褒めてるんだよ。
お陰で僕達は随分と自由に動かせてもらった。
相手は統率力もない、寄せ集めの集団で連携もなってない。
君がいてこその勝利だと言っても過言じゃない」
机を挟んで向かい合ったまま言うと、ケイトは僕と異なった意見を正面からぶつけてきた。