第35章 成長
フィン「だから、君はもう少しだけ…もう少しだけ、僕に寄りかかってくれ」
ぐいっ
そう言った瞬間、ケイトは肩の上に頭を乗せた。
フィン「いや…物理的な意味じゃなくてね^^;」
ケイト「え?」きょとん←寄りかかってる人
フィン「ははっ^^(くす)
寄りかかるのは体だけじゃない、心をさ」ついっ←ケイトの頬をつつく
ケイト「心?」首傾げ
キョトンとした顔で言うケイトに、僕はまた満面の笑みを浮かべた。
フィン「君の場合、足りないものは心の支えだ。
暴走する感情に流されて振り回されないだけの錨だ」
ケイト「錨…?」
フィン「頷)ああ…人の心は船と同じだ。
それを強く持てるかどうか、荒波という障害に押し負けないよう強く持たなければいけない。
自分の進みたい方向へ進むには、強く持って、何度打ちのめされても前を向き続けなければいけない。
君の場合は強く当たれない迷惑もかけたくないから、触れたものを誰も傷付けないようなクッション性の船なのかな?
でも方向が見えていない。時折来る過去の波に拐われて、街にとっていいように振り回されて…君自身のことが見えていない。
だから…自分で自分のそれを壊して死のうとする君を見て、そんな風になるまで精神を追い込んだ奴等に殺意が芽生えた。
だから…怒ってしまったんだ。君は悪くないのにね…
それでも、人や環境のせいにして負けていられるような人じゃなくてよかった。
それでも君は…傷付けたくないという道を、愚直に選び続けている。
全員を傷付けない道などない。それでもせめて…その数を減らそうと懸命に頑張っているからね、君は」
ケイト「!前に言ってたコンパスって」←114ページ参照
フィン「ああ…そういう意味だ。
だから…
早い話が…死にたいという感情に負けそうになる君にも、腹を立ててしまった。
僕がその当時、その場にいればとも思えた。歯がゆくて仕方なかった。
激情に身を任せ、傷付けられるまま暴走するそれを前に、ああいう言葉しかかけられなかった。
どういう言葉をかけたらいいか…わからなかった。
僕とは違って裏表もなく、心から相手のことを憂うような奇特な人だから」
晴天の星空を見上げながら僕は微笑む。
僕にとっては…星々の中でも一際眩しく光る星に見えていたから。
『僕にとって、君は光だよ』と――