第35章 成長
ケイト「どうせ苦しませるなら、その一回だけって…そう考えてた自分がいたんだ。
たった独りで、勝ちようがなくって、誰もいなくって…聞いてくれる人も、傍に居てくれる育ての家族ができたって、思いを打ち明けられる訳じゃないからさ。
心のどこかで、そのまま死ねばいいって思ってたんだ。15年間、溜め込まれてたものだ。
そりゃあ…独りなら、負けるに決まってる。傷付けていい理由にして、誰かに痛い思いなんてさせたくないっ
あんな思いするのは…何度も殺されるのは自分だけで十分だっ」涙
なでなで
隣に座った彼は頭を撫でながら呟いた。
だから、精神や人格が潰れたのだと…
フィン「うん…そうだね。
何の変化にも反応しないほど、潰れてたね…」
ケイト「だから、さ…また、フラッシュバックを起こすまでは…絶対、絶対に負けないから!
戦えるように、頑張るからさ…(ぎゅう)
フラッシュバックの時だけ、お願いしても、いい?」
フィン「ああ…大して力になれなくて、済まない」ぎゅうっ
抱き締める力を強めながら、僕は言い聞かせつつ頭を撫でた。
ケイト「そんなこと、ないよ…だって…引き戻してくれたじゃんか。
あの後さ…何も反応できなくなった時、左手に触れた温かさが引き寄せてくれたんだ。
帰ってくる場所はここだよってさ…
だからさ…そんなこと言わないでよ」
フィン「なら君も自分が死んだ方がいいなんて…口が裂けても言わないでくれ」
ケイト「うん…わかった。
でもさ…怖いんだ…堪らなく、恐いんだ。
人間が、ヒューマンが…恐いんだ」
フィン「アイズは
ケイト「怖くない!わかってる!でも…でもっ」ぽろぽろ
ケイトからしゃっくりが上がる中、その頭を撫でながら僕は言葉を続けた。
フィン「それは当然の反応だろう。ずっと言葉の暴力にさらされ、暴言を吐かれ続ければそうなることはもはや普通だ。
僕の性格上、やられっぱなしは趣味じゃない。
だからこそああいう風に知恵を回して逆襲した。
ちなみに言うとね…やられっぱなしの同族に嫌悪感さえ抱いていた」
ケイト「!嫌われる!?;」
フィン「しかし、それは諦めによるものだ。
君のような、愚かとも言える優しさによるものじゃない」
ケイト「…え?」
目を瞬かせるケイトに、僕はなおも言葉を続けた。