第35章 成長
フィン「ろくに嘘もつけない。話せない。怯えるばかり、気を回すばかり、自分のことは常に後回し。
人には厳しく当たれない、痛みがわかるから仕返しもできない、痛みも傷も与えたくなくて行動に移せない。
無邪気に振る舞っては笑って、とても楽しそうに走り回る、信頼すれば気が緩んでか面白いことばかりする。
一緒にいて飽きない、思いもしない行動、突拍子もなくあり得ない行動を取る、信頼し切っていて振り回されてばかり…
そんな君が、僕は心から気に入っているんだよ^^
僕は…君みたいな人には、出会ったことがなかった。
こんなお人好し、見たこと自体初めてだった。
早死にするタイプだとも思ったよ。いいように利用されるだけされてね。
だから、気にかかった。何度も何度も気にかかって…気付けば、恋に落ちていた。
無邪気で純粋で、楽しそうで…そんな君が眩しかった。
それと同時に怖かった…誰もが失ったそれを、ふとした拍子に失うんじゃないかってね……
だからこそ、惹かれたのかもしれない…
好きで堪らないからこそ、そう思った」
ケイト「…んん…」もぞっ
ぎゅううっ
愛しさのあまり、抱き締める力を強める中で…ケイトは身をもぞもぞと苦しそうによじった。
フィン「苦しいかい?」ぱっ
ケイト「…違う…もっと、抱き締めて」ぎゅっ
フィン「ああ…続けてもいいかな?」
ケイト「…うん」こく
フィン「…ありがとう(微笑)
ケイト…(ぎゅうっ)
僕が何度でも引き戻す」
ケイト「!え?」
フィン「だから…だから、感情を殺さなくていい。
間違えば止める。だから遠慮無く、全てをさらけ出して…その上で、掴み取って欲しい。自由を、君の翼を。
笑えなくなっていた君が、これほどに笑えるようになったんだ。
だからこそ言わせてもらう。
これから先、また狂いそうになるかもしれない。
精神が潰れて、またあんな風に狂うかもしれない。
その時には、僕が止める。何度でも駆け付けて、何度でも抱き締めて、口を塞いで抱擁を交わし、引き止める楔となる。
だから…君はもう、自分を殺すな。
例え自分の体であったとしても、傷を付けるな。殴るな。
僕の愛した君を、汚さないで欲しい。殺さないでくれ」
そう言葉を続ける中
彼女はさも嬉しそうに目を細め…双眸を涙で潤ませながら満面の笑みを浮かべ、頷いた。