第35章 成長
フィン「だから…それだけに潰されないでっ……
『今』を見てくれ」
ケイト「………今…?」
やっと顔を上げるケイトに対し、僕はそれを強く抱き寄せた。
フィン「ああ」ぎゅう
後頭部を撫でながら、抱き締める力を強めた。
温かい手が、冷たい風の中で温めてくれたのを感じた。
フィン「過去は決して変わらない。
今も街の人達はさして変わらず、情報をばらまいているだろう。
また都合の悪いことがあれば利用しようとして来るだろう。
それでも…約束しよう。
あの時の誓いは、決して変わらない。
あの輩には、二度と…指一本ですら触れさせはしない!
何があろうと、何を犠牲にしようとも、君を護り抜く!!」
ケイト「!!」
フィン「僕自身も驚いている。こんなにも、貪欲だったことにね。
君が好きで仕方がない。だからこそ…それで再び潰れて、壊れていく精神を見ていられない。
幸せに笑う顔を、僕は見ていたい。
だから…あんな視野の狭い外道に、いいようにされるな!」
真剣な表情で覗き込みながら叫ぶ中、ケイトは…僕の目を見つめながら尋ねる。
ケイト「……ねえ、一つだけ聞かせて?」
フィン「…?」
ケイト「……私は…居ても、いいの?」
フィン「ああ」頷
ケイト「迷惑じゃ、ないの?」
フィン「そう言っている」ぎゅっ
ケイト「………私は…居ない方がいい存在じゃ、ないのっ?」ぽろ
フィン「ああ。
…寧ろ、居てくれなければ困る。
それも…死にたくなるほどにね」
目を細めながら苦笑し、僕は涙を流すケイトに言葉を続けた。
ケイト「…ははっ…ぐすっ
それは…大変だね^^;;」ぼろぼろ
フィン「ああ…大変だ(微笑)
君なしでは…生きていけない体になってしまった。心も、含めて」ぎゅううっ
ケイト「私もだよ。負けてない//」むぎゅうっ
フィン「ああ…よく知っている//」
抱き締める力を強める中、負けじと力を強めるケイトに、僕は微笑みかけながら頷いた。
月明かりが照らす中…愛しげな目を互いに向け合う中、ケイトは抱き返しながら呟いてきた。