第35章 成長
ケイト「あ…あま?;」
フィン「確かに君はそう言われて育った。
否定するものもいなかった。
それがどうした?
君の意思はどこへやった?君自身の意思はどこへいった?!
よく知りもしない周りの意見に振り回されて、死を望む程度の覚悟か!?
僕と共に歩もうと考える想いはその程度か!!?
人の為にしか『勇気』を出せないのか!!!?
持ちたくて持ったんじゃない…
それは、その言葉は…君を選んだノアールを侮辱する言葉だ!」
ケイト「!!」
フィン「ブランシェもまた、君を選んだんだろう?
勝手な周りに振り回されるな!!!
都合のいい理屈をこねて、都合のいい情報だけを見て!勝手な偏見を押し付けて!!
そんな輩にいいようにされるな!!!」
そう肩を掴んで揺さぶる最中、ケイトは俯きながら…涙を止められぬまま零すかのように呟いた。
ケイト「じゃあっ…じゃあ、どうしたらよかったんだよ。
傷付けたくない。同じ思いさせたくない。抵抗もできない。無視もできない。受け流すこともできない。
そのまま死んでたらよかった、って…考えたらいけないのかよっ……」
フィン「独りっきりは…その地獄は、よく知っている。
君は…それが長過ぎた。
長過ぎて…あのように狂ってしまった。
君の精神はひどく不安定だ。悪夢を見るだけで、フラッシュバックを起こすだけで、容易く狂ってしまう。
笑い声を上げながら何度も自分を殴って、ようやく安心するぐらいだ。
余程過酷なことがあったんだろう。
でも…今は……今は、君の目にどう映っている?
どう映って、そのように言っている?」
ケイト「………」
フィン「言いたくなければ、言わなくてもいい。
ただ!…(ぎりっ)
これだけは忘れないで欲しいことがある!!
あの街の人達は、決して赦されないことをした!謝った所で消えない罪を犯し続けた!!
だからこそ…僕達は出会えた。オラリオで出会い、恋に落ちた。
君のあの姿にフィアナを見た。小人族としてなど関係なく、僕自身の心が!君を求めた!!
だからこそ得た幸せもあったはずだ。少しずつ学んで、笑えるようになったはずだ。
それも、心からっ!」ぎりり
脳裏にこれまでのケイトとの日々が蘇る。想いが色めき立つ。
そしてそれは…乗り越えてきた度、その想い出の数だけ、強く強く存在を訴えかけていた。