第35章 成長
それから…ケイトは夜になると、常に父親から殴られていたことを思い出してか、表情を曇らせた。
どうやらフラッシュバックに近い感覚に囚われているらしい。
冷たい空気が肌を刺す中、彼女はただただ涙していた。
ケイト「自分がいるせいで、自分の人生は狂わされたっ
ずっとそう言われてきた!
何度も、何度も!何度だって殺されてきたっ。
何度も苦しくって、死にかけた時だって…
持ちたくて持ったんじゃないっ!
自分が…死んだ方が、出会わなかった方が…その方がって、そればっかりで…」
フィン「そんなことはない。
そもそも…僕は、人並みの幸せというものに関心がなかった。
それにとらわれれば、それまでの築き上げてきたものの意味がなくなると考えていたからだ。
だが…悪くないと思えた。君といるだけで幸せを感じる。
君のことを考えただけで笑みが溢れ、心が弾んだ。
それまでの僕を…君が、変えてくれたんだ。
そして、どちらも無駄にさせない。
何があっても、君を護り抜く道を選んだ。僕自身がだ。
だから…君一人が、人の人生を全て背負い込むものじゃない!」
ケイト「でも…じゃあ、なんでっ!!?
どうしてっ…まかり通ってたじゃんか!?
正義だって、街は皆そうしてきてたのにっ!
育ての家族以外はずっと…なのに、なんでっ。どうしてっ!
どうして今更!!
遅いよ…遅過ぎるよ!(涙)
わかんないよっ…死んだ方がいいとしかなかったのに、なんでいきなり変わるんだよっ!
わかんないよっ!」
フィン「まだ…まだ、それを言うのか?
僕等を前にしても、同じことを言えるのか?
甘ったれるな!」
ごおんっ!!
そう激昂のままに、ケイトの頭へ僕は頭突きをした。
死んで欲しくないという気持ちが、ただひたすらに僕を突き動かしていた。