第35章 成長
その時、ラウルの頭の中である声が響いていた。
修業空間での彼女から得たものについて…
ケイト「ラウル、一つだけ教えておくことがある」
ラウル「え?何すか?」
ケイト「勝つまで貫き続けた者が勝者だ!」
ラウル「何すかいきなり!!;意味わかんないっすよ!;」
ケイト「負けても諦めるな。転がされても立ち上がれ。打ちのめされても立て。
どれだけ負けても、どれほどあしらわれても、最後まで立ち上がって振るい続けろ。
足掻け。足掻いて、足掻いて、足掻き続けろ。
最後の最後まで足掻き続けた者こそが、真の勝者だ。
正確には、勝者になりたいなら止まるな!」
ラウル「…はいっす!!」
その言葉に、ラウルは強く頷いていた。
ラウル「まだ…まだ届かない!
でも、まだ動く!動け、動き続けろ。止まるな。止めるな!!
今ここで止まったら…いつ、辿り着くんだ!!)
うああああああああああああああああああ!!!」
歯を食い縛り、彼女との時を経て身に付いた動きが火を吹く。
(何だ、この変則的な槍は!?;
次の動きが…読めない!?;)
ケイト『短槍はこう扱うんだよ?』微笑
ラウル(わかってるっすよ!)
ケイト『Lv.なんて関係ない。ぶちのめしてやれ。
弱さを武器に変えろ。
己の持つ全てを力に変えて、迎え撃て!!』
ラウル(はい…はい!!)ぎりっ!!
「あの棒術の動き…貴様、ケイトか!?」
ラウル「俺は…
俺はっ!…まだ、半人前っす。
でも…それでもっ…負けるわけには、いかないんす!!」
ずばっ!!
「っ!
この俺に…傷を付けるだと?」
右頬、目のすぐ傍に切り傷が付いた。それに戦慄を覚えた。
しかし振るう手は止まらない。
彼のLv.7の時のオッタルの如く、凄まじく速い剣筋は適確に追い詰めていく。
だが、ラウルはそれ以上にそれらを完璧にいなし、凌ぎ続けた。
Lv.5の時に見せた、ケイトの剣術のように…